冷却併用腹腔鏡下腎部分切除術

「はじめに」小径腎腫瘍に対する腎部分切除術については, 近年のCKD予防への意識の高まり, 根治的腎摘除に優る腎機能の温存, 心血管系イベントの抑制効果, ひいては粗生存率の向上をもたらすとする欧米の報告から, 本邦においても積極的に行われている1-4). これに伴い, 腹腔鏡下腎部分切除術も行われる機会が増えているが, 本術式は泌尿器科腹腔鏡手術のなかでも難易度の高い手術とされる. 腫瘍切除, 尿路の閉鎖, 腎実質縫合といった手術手技も特徴的であるが, やはり腎動脈阻血に関して時間的制約があることが本術式のもっとも特徴的な点であろう. しばしば"Surgeons must race...

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Published inJapanese Journal of Endourology Vol. 24; no. 2; pp. 228 - 232
Main Authors 安部, 崇重, 丸山, 覚, 佐澤, 陽, 野々村, 克也, 松本, 隆児, 原林, 透, 篠原, 信雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本泌尿器内視鏡学会 2011
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ISSN2186-1889
2187-4700
DOI10.11302/jsejje.24.228

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Summary:「はじめに」小径腎腫瘍に対する腎部分切除術については, 近年のCKD予防への意識の高まり, 根治的腎摘除に優る腎機能の温存, 心血管系イベントの抑制効果, ひいては粗生存率の向上をもたらすとする欧米の報告から, 本邦においても積極的に行われている1-4). これに伴い, 腹腔鏡下腎部分切除術も行われる機会が増えているが, 本術式は泌尿器科腹腔鏡手術のなかでも難易度の高い手術とされる. 腫瘍切除, 尿路の閉鎖, 腎実質縫合といった手術手技も特徴的であるが, やはり腎動脈阻血に関して時間的制約があることが本術式のもっとも特徴的な点であろう. しばしば"Surgeons must race against the clock."と表現されるが, 術中の術者の心境をよく表していると思う. 本術式の普及, 適応拡大のためには, (1)阻血時間の短縮を可能にするシンプルな手技の確立, (2)虚血による腎障害を最小限にする腎実質保護方法の開発が必要である.
ISSN:2186-1889
2187-4700
DOI:10.11302/jsejje.24.228