検査室にて沐浴を実施し発作時脳波を捕捉し得た乳幼児てんかんの一症例
症例は11か月男児で特記すべき既往歴および家族歴はない。入浴後に口唇色不良および眼球上転を認め,3日後に同症状が群発したため当院を受診した。同日の脳波検査で覚醒時に右側頭部起始の焦点発作を認めたためカルバマゼピンの内服を開始した。しかし,2か月後に3晩続けて入浴後に発作があり,その後群発したため,Dravet症候群の可能性を考慮しカルバマゼピンからフェノバルビタールの内服へ切り替え,シャワー浴とした。その後,改善なく発作を認めたため,発作捕捉を目的とした脳波検査を実施した。脳波室にて電極装着を行い,沐浴槽を設置して湯浴みを行ったところ,沐浴槽から出て体を拭く間に動作停止し目はうつろ,顔色不良と...
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Published in | 医学検査 Vol. 69; no. 3; pp. 481 - 487 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
25.07.2020
日本臨床衛生検査技師会 |
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Summary: | 症例は11か月男児で特記すべき既往歴および家族歴はない。入浴後に口唇色不良および眼球上転を認め,3日後に同症状が群発したため当院を受診した。同日の脳波検査で覚醒時に右側頭部起始の焦点発作を認めたためカルバマゼピンの内服を開始した。しかし,2か月後に3晩続けて入浴後に発作があり,その後群発したため,Dravet症候群の可能性を考慮しカルバマゼピンからフェノバルビタールの内服へ切り替え,シャワー浴とした。その後,改善なく発作を認めたため,発作捕捉を目的とした脳波検査を実施した。脳波室にて電極装着を行い,沐浴槽を設置して湯浴みを行ったところ,沐浴槽から出て体を拭く間に動作停止し目はうつろ,顔色不良となり,続いて四肢の強直発作が観察された。しばらくして皮膚色および意識は緩徐に回復した。発作時脳波は右中後側頭部の律動波から右側頭部徐波,全般性徐波,強直相のアーティファクト,右前側頭部の鋭徐波複合と推移し,その後に全般性の減衰を示した。本発作は,「意識障害を伴う自律神経症状と強直性姿勢を示す右側頭部起始の焦点発作」と診断された。本症例では,水濡れによる患者の感電および検査機器類故障のリスクがある中,発作を誘発する“入浴とそれに続く一連の動作”を再現することにより発作時脳波の記録に成功し,診断ならび治療方針の決定に寄与することができた。特に小児における発作誘因環境を再現・整備することの重要性を認識できた症例であった。 |
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ISSN: | 0915-8669 2188-5346 |
DOI: | 10.14932/jamt.20-15 |