左室同期不全を伴うlow flow low gradient ASに対する低用量ドブタミン負荷への反応性を心臓再同期療法前後で比較した1例
症例は84歳,女性.薬物治療開始後もNYHA Ⅲ度の心不全が残存していた.12誘導心電図では洞調律でQRS幅184 msecの完全左脚ブロックで,心エコー図検査では左室駆出率(LVEF)は14%と低下し左室同期不全を認めた.大動脈弁口面積(AVA)0.6 cm2で大動脈弁通過最大血流速度2.7 m/s,平均圧較差16 mmHgとlow flow low gradient AS(LF/LG AS)を合併していた.その評価のため低用量ドブタミン(DOB)負荷心エコーを行い,その後心臓再同期療法(CRT)を行った.CRT前は低用量DOB負荷でstroke volumeとflow rateの増加が乏し...
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Published in | 心臓 Vol. 51; no. 2; pp. 189 - 195 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.02.2019
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
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Summary: | 症例は84歳,女性.薬物治療開始後もNYHA Ⅲ度の心不全が残存していた.12誘導心電図では洞調律でQRS幅184 msecの完全左脚ブロックで,心エコー図検査では左室駆出率(LVEF)は14%と低下し左室同期不全を認めた.大動脈弁口面積(AVA)0.6 cm2で大動脈弁通過最大血流速度2.7 m/s,平均圧較差16 mmHgとlow flow low gradient AS(LF/LG AS)を合併していた.その評価のため低用量ドブタミン(DOB)負荷心エコーを行い,その後心臓再同期療法(CRT)を行った.CRT前は低用量DOB負荷でstroke volumeとflow rateの増加が乏しく評価が困難であったが,CRT後は低用量DOB負荷で再評価可能で,pseudo severe ASと診断できた.また,CRT 4カ月後の心エコー図検査にてLVEFは40.2%と収縮不全は改善しAVAは1.09 cm2であり,pseudo severe ASに矛盾しない結果となった.左室同期不全を伴うLF/LG ASに対しCRTを先行させることで弁膜症の治療方針を決定できた1例を経験したため報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.51.189 |