巨大な大動脈弁輪拡張症を伴い, 間歇的な逆行性伝導を認めたWPW症候群の1例

68歳, 男性. 径7cmの大動脈弁輪拡張とそれに伴う中等度の大動脈弁閉鎖不全症, 心房細動による心不全にて近医入院. 利尿薬の追加で心不全の改善を認め, 心房細動も直流除細動後はピルジカイニド内服で抑制できた. しかし, その後は発作性上室性頻拍(paroxysmal supraventricular tachycardia; PSVT)を頻回に認め, 精査目的で当院へ紹介入院となった. 心電図上デルタ波は認めず. 電気生理学的検査(electrophysiologic study; nEPS)にてコントロール下では副伝導路の順行性, 逆行性伝導をともに認めなかったが, イソプロテレノール負...

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Published in心臓 Vol. 44; no. 4; pp. 450 - 455
Main Authors 川人, 浩之, 白石, 裕一, 畔柳, 彰, 白山, 武司, 中村, 猛, 山野, 哲弘, 松室, 明義, 沢田, 尚久, 松原, 弘明, 計良, 夏哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2012
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:68歳, 男性. 径7cmの大動脈弁輪拡張とそれに伴う中等度の大動脈弁閉鎖不全症, 心房細動による心不全にて近医入院. 利尿薬の追加で心不全の改善を認め, 心房細動も直流除細動後はピルジカイニド内服で抑制できた. しかし, その後は発作性上室性頻拍(paroxysmal supraventricular tachycardia; PSVT)を頻回に認め, 精査目的で当院へ紹介入院となった. 心電図上デルタ波は認めず. 電気生理学的検査(electrophysiologic study; nEPS)にてコントロール下では副伝導路の順行性, 逆行性伝導をともに認めなかったが, イソプロテレノール負荷で心室のバースト刺激を繰り返すと左室側壁に逆行伝導のみ副伝導路の伝導を認め, 反復して順方向性房室回帰性頻拍が誘発された. Valsalva洞の著明な拡大のため, 経大動脈的に左室へカテーテルを挿入することが困難なため, 経心房中隔的にアブレーションを試みた. しかし, 大動脈弁輪拡張のためカテーテル操作に難渋しシースの変更により操作性を改善させ焼灼に成功した. PSVTの原因としてカテコラミン感受性の逆行性間歇性副伝導路は稀であり, さらにアブレーション治療に工夫を要したため報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.450