産科出血に対する子宮動脈塞栓術14例の検討

2012年1月から2020年12月までの9年間に,浜松医療センターで施行した産科出血に対する子宮動脈塞栓術(UAE)14例について,患者背景やUAEの方法とその後の月経や妊娠・分娩における合併症との関連を検討した. UAE施行時の分娩週数は22週未満が7例,正期産が7例であった.正期産症例のUAE適応疾患の内訳は分娩後異常出血(PPH)5例,動静脈奇形1例,仮性動脈瘤1例であった.月経再開は11例で確認され,1例はAsherman症候群により無月経となった.UAE後の初回妊娠7例を管理し,2例で癒着胎盤をきたした.Asherman症候群をきたした1例と癒着胎盤をきたした2例のUAEの適応疾患は...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 58; no. 2; pp. 258 - 262
Main Authors 平林, 慧, 芹沢, 麻里子, 平井, 久也, 高橋, 慎治, 山下, 美和, 松井, 浩之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2022
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Summary:2012年1月から2020年12月までの9年間に,浜松医療センターで施行した産科出血に対する子宮動脈塞栓術(UAE)14例について,患者背景やUAEの方法とその後の月経や妊娠・分娩における合併症との関連を検討した. UAE施行時の分娩週数は22週未満が7例,正期産が7例であった.正期産症例のUAE適応疾患の内訳は分娩後異常出血(PPH)5例,動静脈奇形1例,仮性動脈瘤1例であった.月経再開は11例で確認され,1例はAsherman症候群により無月経となった.UAE後の初回妊娠7例を管理し,2例で癒着胎盤をきたした.Asherman症候群をきたした1例と癒着胎盤をきたした2例のUAEの適応疾患はPPHであった. UAEは産科出血に対する有効な止血方法であるが,子宮内膜虚血による合併症に注意が必要である.特にPPHに対する分娩後早期のUAEが合併症発生の高リスクとなる可能性が考えられた.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.58.2_258