早期再分極異常が原因と考えられた心室細動蘇生後の1例

症例は37歳, 男性. 2009年3月, 就寝中に突然鼾様呼吸が出現し, 刺激に反応しないことに家人が気づき, 救急要請された. 救急隊到着時, モニター上, 心室細動(ventricular fibrillation; VF)を認め, 自動体外式除細動器(automated external defibrillator; AED)にて除細動され, 心拍が再開し当院に搬送された. 経胸壁心臓超音波検査では壁運動に異常なく, 心電図にて下側壁誘導にJ波を認めた. 第12病日に心臓電気生理学的検査を施行. 冠動脈造影検査では有意狭窄を認めず, アセチルコリン負荷試験では血管攣縮は認めなかった. 心...

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Published in心臓 Vol. 43; no. 4; pp. 523 - 530
Main Authors 石川, 妙, 深水, 誠二, 岩澤, 仁, 松下, 紀子, 高野, 誠, 北條, 林太郎, 仲井, 盛, 小宮山, 浩大, 弓場, 隆生, 辰本, 明子, 野田, 彰浩, 田辺, 康宏, 手島, 保, 西崎, 光弘, 櫻田, 春水
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2011
日本心臓財団
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Summary:症例は37歳, 男性. 2009年3月, 就寝中に突然鼾様呼吸が出現し, 刺激に反応しないことに家人が気づき, 救急要請された. 救急隊到着時, モニター上, 心室細動(ventricular fibrillation; VF)を認め, 自動体外式除細動器(automated external defibrillator; AED)にて除細動され, 心拍が再開し当院に搬送された. 経胸壁心臓超音波検査では壁運動に異常なく, 心電図にて下側壁誘導にJ波を認めた. 第12病日に心臓電気生理学的検査を施行. 冠動脈造影検査では有意狭窄を認めず, アセチルコリン負荷試験では血管攣縮は認めなかった. 心室プログラム刺激では無投薬下で右室心尖部からの3連期外刺激により再現性をもってVFが誘発された. イソプロテレノールに誘発抑制効果を認め, プロプラノロールでは誘発性が亢進した. 第14病日に, 植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator; ICD)を植え込み, キニジン内服下の第21病日に再度心室プログラム刺激を施行したところ, VFは誘発されなかった. 近年, 特発性心室細動(idiopathic ventricular fibrillation; IVF)の症例において下側壁誘導にJ波を有する症例が報告されている. 本症例もその1例と考えられ, 文献的考察を加えてここに報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.523