転移性腺癌との鑑別に難渋した腺管構造を持つ右房粘液腫の1例

症例は32歳, 女性. 発熱を主訴に近医を受診した. 経過中に労作時呼吸苦を訴え当院紹介となった. 心臓超音波検査にて右房を占拠し, 一部右室に張り出した腫瘍を認めた. 腫瘍による機械的三尖弁閉塞からの右心不全と診断し, さらに感染性心内膜炎の併発も疑われたため緊急手術を行った. 術前は粘液腫を疑っていたが, 病理組織所見では粘液腫の所見だけでなく腺管構造を伴っていることが明らかになった. 転移性腺癌との鑑別のため, 全身検索を行ったが原発巣を認めず, 術後約2年の経過で再発や転移がないことから最終的に腺管構造を有する右房粘液腫と診断した. この疾患は転移性腺癌との鑑別や悪性転化など古典的粘液...

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Published in心臓 Vol. 45; no. 2; pp. 203 - 208
Main Authors 桝田, 幹雄, 中尾, 佳永, 乗松, 東吾, 東, 茂樹, 三岡, 博, 斎藤, 孝晶, 植田, 初江, 笠原, 正男, 新谷, 恒弘, 尾島, 英知
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2013
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.45.203

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Summary:症例は32歳, 女性. 発熱を主訴に近医を受診した. 経過中に労作時呼吸苦を訴え当院紹介となった. 心臓超音波検査にて右房を占拠し, 一部右室に張り出した腫瘍を認めた. 腫瘍による機械的三尖弁閉塞からの右心不全と診断し, さらに感染性心内膜炎の併発も疑われたため緊急手術を行った. 術前は粘液腫を疑っていたが, 病理組織所見では粘液腫の所見だけでなく腺管構造を伴っていることが明らかになった. 転移性腺癌との鑑別のため, 全身検索を行ったが原発巣を認めず, 術後約2年の経過で再発や転移がないことから最終的に腺管構造を有する右房粘液腫と診断した. この疾患は転移性腺癌との鑑別や悪性転化など古典的粘液腫とは経過が異なるものであり, 術後も注意深い経過観察が必要である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.45.203