妊娠中の特発性持続性心室頻拍に対し,3Dマッピングシステムを活用し無透視下でアブレーションした一例

不整脈は妊娠中の心血管イベントで最も頻度が高く,妊娠に伴い増悪しやすい.よって妊娠前の治療介入が重要であり,妊娠中でも心室頻拍などの致死性不整脈や,症候性,薬剤抵抗性の場合は高い成功率と根治性のあるアブレーションが検討される. 通常アブレーションは透視下で行われるため,妊婦では胎児放射線暴露の点で制限される.放射線を使用しない3Dマッピングシステム(3DMS)は,磁場や電流による位置情報の把握により不整脈の起源・回路を可視化できる装置だが,3DMSを使用した妊婦の心室頻拍に対する治療報告は限られる. 本例では心室頻拍に対し妊娠前にアブレーションを行うも,妊娠を契機に再発し,妊娠35週で3DMS...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 60; no. 2; pp. 292 - 297
Main Authors 門岡, みずほ, 水上, 暁, 三谷, 尚弘, 末光, 徳匡, 古澤, 嘉明, 藤井, 彩乃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2024
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.60.2_292

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Summary:不整脈は妊娠中の心血管イベントで最も頻度が高く,妊娠に伴い増悪しやすい.よって妊娠前の治療介入が重要であり,妊娠中でも心室頻拍などの致死性不整脈や,症候性,薬剤抵抗性の場合は高い成功率と根治性のあるアブレーションが検討される. 通常アブレーションは透視下で行われるため,妊婦では胎児放射線暴露の点で制限される.放射線を使用しない3Dマッピングシステム(3DMS)は,磁場や電流による位置情報の把握により不整脈の起源・回路を可視化できる装置だが,3DMSを使用した妊婦の心室頻拍に対する治療報告は限られる. 本例では心室頻拍に対し妊娠前にアブレーションを行うも,妊娠を契機に再発し,妊娠35週で3DMSを用いた無透視下でのアブレーションを実施した.胎児放射線暴露を回避し合併症なく不整脈治療を完遂し,その後再発なく良好な分娩転帰となった.母児ともに侵襲が低く,有効な不整脈治療と考えられた.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.60.2_292