術後1年で小腸・横行結腸間膜に多発再発し再切除した腸間膜線維腫症の1例

70歳,男性.腹部に腫瘤を触知したため近医を受診し,CTで腹腔内腫瘤が指摘されたため当科へ紹介となった.腹部造影CTおよび腹部造影MRIで,左上腹部に不均一に淡く濃染される境界明瞭な5cm大の腫瘤を認めたため,間葉系腫瘍を疑い,開腹下に空腸部分切除で腫瘍を切除した.病理・免疫組織学的に,腸管膜線維腫症と診断された.術後外来にて経過観察を行っていたところ,術1年後のCTにて小腸間膜と横行結腸近傍に境界明瞭な腫瘤を認めた.腸間膜線維腫症の再発と考え,それぞれ空腸および横行結腸合併切除で腫瘍切除を施行した.病理・免疫組織学的に,腸間膜線維腫症と診断された.再切除後1年10カ月が経過した現在,無再発生...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 9; pp. 1602 - 1608
Main Authors 宮内, 亮子, 宮下, 正寛, 川口, 貴士, 野沢, 彰紀, 大河, 昌人, 上西, 崇弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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Summary:70歳,男性.腹部に腫瘤を触知したため近医を受診し,CTで腹腔内腫瘤が指摘されたため当科へ紹介となった.腹部造影CTおよび腹部造影MRIで,左上腹部に不均一に淡く濃染される境界明瞭な5cm大の腫瘤を認めたため,間葉系腫瘍を疑い,開腹下に空腸部分切除で腫瘍を切除した.病理・免疫組織学的に,腸管膜線維腫症と診断された.術後外来にて経過観察を行っていたところ,術1年後のCTにて小腸間膜と横行結腸近傍に境界明瞭な腫瘤を認めた.腸間膜線維腫症の再発と考え,それぞれ空腸および横行結腸合併切除で腫瘍切除を施行した.病理・免疫組織学的に,腸間膜線維腫症と診断された.再切除後1年10カ月が経過した現在,無再発生存中である.家族性大腸腺腫症や手術,外傷の既往なく発生した腸間膜線維腫症に対する外科的切除後,多発再発に対して再切除を施行した稀な症例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.1602