64列冠動脈CTによる有意狭窄病変診断における石灰化スコアの影響

目的: 冠動脈の石灰化スコアが冠動脈CTによる有意狭窄病変の診断精度に与える影響について検討した. 方法: 64列冠動脈CT(64SCT)と侵襲的冠動脈造影を行った連続25名について, 64SCTの感度と特異度を冠動脈石灰化スコア(Agatston score)別に検討した. 評価対象とした冠動脈は主要3枝で内径が2mm以上とした. また, 最も高度な狭窄部位をその枝の評価対象とした. 結果: 64SCTによる狭窄評価が侵襲的冠動脈造影と一致したものが, 49血管(65.0%), 過大評価は20血管(26.0%), 過小評価は6血管(8.0%)であった. 石灰化スコア1,000以上の患者では,...

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Published in心臓 Vol. 44; no. 6; pp. 683 - 688
Main Authors 中川, 尭, 田中, 由利子, 諸井, 雅男, 山本, 正也, 池田, 長生, 伊藤, 信吾, 脇屋, 桃子, 田守, 唯一, 岡崎, 修, 廣江, 道昭, 上村, 宗弘, 原, 久男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2012
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.683

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Summary:目的: 冠動脈の石灰化スコアが冠動脈CTによる有意狭窄病変の診断精度に与える影響について検討した. 方法: 64列冠動脈CT(64SCT)と侵襲的冠動脈造影を行った連続25名について, 64SCTの感度と特異度を冠動脈石灰化スコア(Agatston score)別に検討した. 評価対象とした冠動脈は主要3枝で内径が2mm以上とした. また, 最も高度な狭窄部位をその枝の評価対象とした. 結果: 64SCTによる狭窄評価が侵襲的冠動脈造影と一致したものが, 49血管(65.0%), 過大評価は20血管(26.0%), 過小評価は6血管(8.0%)であった. 石灰化スコア1,000以上の患者では, それぞれ10血管(41.7%), 10血管(41.7%), 4血管(16.7%)であり, 400以上1,000未満の患者では8血管(53.3%), 5血管(33.3%), 2血管(13.3%), 400未満の患者では31血管(86.1%), 5血管(13.9%), 0血管(0%)であった. 侵襲的冠動脈造影で75%以上の狭窄に対する64SCTの感度および特異度は, 全患者では91.3%および78.8%であり, 石灰化スコア1,000以上では87.5%および56.3%, 400以上1,000未満では85.7%および75.0%, 400未満では100%および92.9%であった. 考察: 石灰化スコア400未満では感度と特異度は十分であり, 400以上1,000未満でも特異度は比較的高い. このことは, 64SCTの結果の評価の一助となり得る.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.683