聴神経腫瘍症例の聴力像の検討

難聴患者の診断においてオージオグラムの型は非常に有力な情報となる。その中で比較的まれな型である中音域に最も高い聴力閾値を示す谷型では、聴神経腫瘍などを鑑別に挙げる必要がある。しかし、これまで聴神経腫瘍における聴力型の検討は少ない。そこで105耳の聴神経腫瘍症例を対象に、オージオグラムの型を分類し、その割合と臨床的特徴を検討した。 聴力型割合は、高音障害型、谷型、山型、聾型の順に多く、谷型は25%を占めた。加齢の影響を排除するため、対側の聴力閾値での補正を行うと、谷型に相当する症例の割合が42%を占めた。 臨床的特徴として、発症形式別にみると突発発症症例では谷型が最も多く、聾型は全例緩徐発症であ...

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Published inOtology Japan Vol. 21; no. 1; pp. 23 - 28
Main Authors 高橋, 邦行, 山本, 裕, 大島, 伸介, 森田, 由香, 根本, 美歌, 桑原, 優子, 高橋, 姿
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳科学会 2011
日本耳科学会
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Summary:難聴患者の診断においてオージオグラムの型は非常に有力な情報となる。その中で比較的まれな型である中音域に最も高い聴力閾値を示す谷型では、聴神経腫瘍などを鑑別に挙げる必要がある。しかし、これまで聴神経腫瘍における聴力型の検討は少ない。そこで105耳の聴神経腫瘍症例を対象に、オージオグラムの型を分類し、その割合と臨床的特徴を検討した。 聴力型割合は、高音障害型、谷型、山型、聾型の順に多く、谷型は25%を占めた。加齢の影響を排除するため、対側の聴力閾値での補正を行うと、谷型に相当する症例の割合が42%を占めた。 臨床的特徴として、発症形式別にみると突発発症症例では谷型が最も多く、聾型は全例緩徐発症であった。腫瘍の大きさと聴力型との関連性は認められなかったが、聾型では内耳道底に腫瘍が進展している症例がほとんどであった。 聴神経腫瘍の聴力型の特徴を把握する事は、本症の早期発見、病態の理解に重要であると考えられた。
ISSN:0917-2025
1884-1457
DOI:10.11289/otoljpn.21.23