心不全患者におけるうつ病スクリーニングが予後に与える影響
背景:心不全患者は,高率にうつ病や不安障害を合併していることが報告されている.また,うつ病の合併は,心不全再発や増悪の危険因子であることも報告されている.今回の研究目的は,心不全患者におけるうつ病合併のスクリーニング検査を行い,患者背景や治療経過に影響を与えるかどうか調査を行うことである. 方法:急性心不全で入院し,病状安定期にうつ病の調査を施行し得た患者172名(平均年齢82.3歳)を対象とした.うつ病スクリーニングは二質問法を用い,1点以上をスクリーニング陽性とした.陽性群と陰性群の2群に分類し,患者背景,入院後の転帰および退院後3年間の心血管イベント発生に差が生じるか調査を行った.心血管...
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Published in | 心臓 Vol. 54; no. 3; pp. 345 - 351 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.03.2022
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
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Summary: | 背景:心不全患者は,高率にうつ病や不安障害を合併していることが報告されている.また,うつ病の合併は,心不全再発や増悪の危険因子であることも報告されている.今回の研究目的は,心不全患者におけるうつ病合併のスクリーニング検査を行い,患者背景や治療経過に影響を与えるかどうか調査を行うことである. 方法:急性心不全で入院し,病状安定期にうつ病の調査を施行し得た患者172名(平均年齢82.3歳)を対象とした.うつ病スクリーニングは二質問法を用い,1点以上をスクリーニング陽性とした.陽性群と陰性群の2群に分類し,患者背景,入院後の転帰および退院後3年間の心血管イベント発生に差が生じるか調査を行った.心血管イベントの定義は,心不全再発での再入院および死亡とした. 結果:172名の心不全患者のうち,72名(41.9%)がスクリーニング陽性であった.年齢や性別,左室駆出率や各種臨床データ等の患者背景は2群間で差を認めなかったが,陽性群において,有意に退院後の心血管イベント発生率が高率であった.多変量解析の結果では,スクリーニング陽性は独立した心不全予後増悪因子であった. 総括:心不全患者は高率にうつ病の合併が疑われ,うつ病スクリーニング検査が陽性であることが独立した心不全予後規定因子であることが示唆された. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.54.345 |