下大静脈原発平滑筋肉腫に対して下大静脈切除および下大静脈人工血管置換術で治療した1例

我々は下大静脈原発の平滑筋肉腫に対して,腫瘍を含めた下大静脈切除および人工血管を用いて下大静脈再建術を施行した症例を経験した.症例は71歳男性.自覚症状はなく腹部超音波検査で偶発的に腫瘤を指摘され当院紹介となった.造影CTでは,腎静脈より末梢の下大静脈に血管壁外へ突出し十二指腸水平脚を圧排する腫瘤を認めた.腫瘤は約60 mmであり辺縁不整形で内部に不均一な造影効果を認めた.PET-CTでは明らかな転移を認めなかった.下大静脈造影では下大静脈の閉塞と側副血行路として腰静脈および奇静脈系の発達を認めた.経十二指腸超音波内視鏡下穿刺吸引法で採取した組織診断では平滑筋肉腫を認めた.手術は開腹下に腫瘍切...

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Published in心臓 Vol. 55; no. 2; pp. 181 - 185
Main Authors 山本, 剛, 倉田, 裕次, 大谷, 悟, 森岡, 慧, 松本, 泰一郎, 木村, 裕司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.02.2023
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.55.181

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Summary:我々は下大静脈原発の平滑筋肉腫に対して,腫瘍を含めた下大静脈切除および人工血管を用いて下大静脈再建術を施行した症例を経験した.症例は71歳男性.自覚症状はなく腹部超音波検査で偶発的に腫瘤を指摘され当院紹介となった.造影CTでは,腎静脈より末梢の下大静脈に血管壁外へ突出し十二指腸水平脚を圧排する腫瘤を認めた.腫瘤は約60 mmであり辺縁不整形で内部に不均一な造影効果を認めた.PET-CTでは明らかな転移を認めなかった.下大静脈造影では下大静脈の閉塞と側副血行路として腰静脈および奇静脈系の発達を認めた.経十二指腸超音波内視鏡下穿刺吸引法で採取した組織診断では平滑筋肉腫を認めた.手術は開腹下に腫瘍切除および下大静脈人工血管置換術を行った.切除病変の病理組織診断は下大静脈原発平滑筋肉腫であった.術後6カ月目のCTでは再発を認めず,現在術後6カ月経過時点で経過観察中である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.55.181