侵襲性肺炎球菌感染症に併発した感染性大動脈瘤の初期の画像変化を捉えた1例
症例は50歳代,女性.喫煙歴と常習的な飲酒歴を有していた.発熱と吸気時胸痛を訴えCT検査にて急性心外膜炎が判明し当院入院となった.抗生剤投与とドレナージで加療開始となり,第4病日には入院時の血液培養と関節液培養からStreptococcus Pneumoniaeが検出され侵襲性肺炎球菌感染症と診断した.経過中に膿胸も出現したが,抗生剤投与継続し適宜ドレナージを施行することにより呼吸状態は改善し炎症反応は低下傾向となった.しかしながら第52病日に経過フォロー目的に実施した胸部造影CT検査にて胸部大動脈に嚢状瘤を認め臨床経過と合わせて感染性大動脈瘤と診断された.この時,CT検査所見を振り返ると,感...
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Published in | 心臓 Vol. 52; no. 2; pp. 138 - 142 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.02.2020
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
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Summary: | 症例は50歳代,女性.喫煙歴と常習的な飲酒歴を有していた.発熱と吸気時胸痛を訴えCT検査にて急性心外膜炎が判明し当院入院となった.抗生剤投与とドレナージで加療開始となり,第4病日には入院時の血液培養と関節液培養からStreptococcus Pneumoniaeが検出され侵襲性肺炎球菌感染症と診断した.経過中に膿胸も出現したが,抗生剤投与継続し適宜ドレナージを施行することにより呼吸状態は改善し炎症反応は低下傾向となった.しかしながら第52病日に経過フォロー目的に実施した胸部造影CT検査にて胸部大動脈に嚢状瘤を認め臨床経過と合わせて感染性大動脈瘤と診断された.この時,CT検査所見を振り返ると,感染性大動脈瘤が形成される部位には第8病日から胸部大動脈血管周囲に浮腫状変化が出現していた.隣接している膿胸や膿性心嚢液と同程度の吸収域であり病理所見と合わせて同部位にも膿瘍形成していた可能性が示唆された.今回のように感染性大動脈瘤の初期画像変化を捉えた症例は少なく,また画像的特徴が早期診断と治療に寄与すると考えられた. 感染性大動脈瘤は稀だが致死的ともなり得る重篤な疾患であり,早期発見と早期治療が重要である.臨床症状が少ないことから画像検索が早期発見の契機となる.今回,侵襲性肺炎球菌感染症の治療中に遅発性に感染性大動脈瘤が出現し,CT検査にて経時的に感染性大動脈瘤形成過程を捉えたので報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.52.138 |