2度の冠動脈バイパス術後に変則的なmid CABGを施行した1例

冠状動脈バイパス術(coronary artery bypass grafting; CABG) の再手術症例は近年増加傾向にある. その中でも複数回の開心術施行後の再手術症例も少なくない1) 2). そうした症例は, 心機能低下例や, グラフト選択の余地がない症例, さらに, グラフトは使用可能でも吻合部位, inflowなどに極めて制限のある症例が多い. また胸骨正中切開アプローチによる再手術では癒着剥離による出血や開存グラフトの損傷という問題点を有し, 手術死亡率も初回待機的バイパス術に比べ高いことが報告されている3). 今回われわれは2度の冠状動脈バイパス術後に, 初回手術で左前下行枝...

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Published in心臓 Vol. 44; no. 5; pp. 598 - 603
Main Authors 中川, 博文, 遠藤, 真弘, 南淵, 明宏, 平沼, 進, 武藤, 康司, 奥山, 浩, 倉田, 篤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2012
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.598

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Summary:冠状動脈バイパス術(coronary artery bypass grafting; CABG) の再手術症例は近年増加傾向にある. その中でも複数回の開心術施行後の再手術症例も少なくない1) 2). そうした症例は, 心機能低下例や, グラフト選択の余地がない症例, さらに, グラフトは使用可能でも吻合部位, inflowなどに極めて制限のある症例が多い. また胸骨正中切開アプローチによる再手術では癒着剥離による出血や開存グラフトの損傷という問題点を有し, 手術死亡率も初回待機的バイパス術に比べ高いことが報告されている3). 今回われわれは2度の冠状動脈バイパス術後に, 初回手術で左前下行枝(left anterior descending artery; LAD)へ施行した右内胸動脈(right internal thoracic artery; RITA)グラフト吻合部近位に狭窄をきたした症例に対し, 通常行われる小切開低侵襲冠状動脈バイパス術(mid CABG)の左前胸部アプローチ4) と同様の術野にて, 前回グラフトの中枢側を温存したバイパス術を施行し, 良好な結果を得ることができたので若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.598