靴底の摩耗による形状の変化が若年女性の歩行中の下肢安定性に与える影響
本研究は,女性を対象として靴のソールの摩耗による靴底の形状変形が歩行中の下肢安定性に与える影響を明らかにすることを目的とした.若年女性49名が使用した靴の摩耗計測結果をもとに,踵の外側が顕著に摩耗した靴の特徴を反映させた3条件の靴を作製して,摩耗形状に適合する9名に着用させて歩行中の床反力を計測した.その結果,摩耗の厚さが7.4 mm程度で前額面からみて靴底が8.0°程度外側に反り上がった靴では,踵接地から荷重応答期にかけて足圧中心の内外方向の動揺が大きくなることが示された.一方,摩耗の厚さが1.0~4.0 mm程度で外側への傾斜が1.0 ~4.3°程度の靴では,摩耗していない靴に比べて動揺が...
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Published in | 人間工学 Vol. 54; no. 4; pp. 174 - 181 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本人間工学会
15.08.2018
日本人間工学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0549-4974 1884-2844 |
DOI | 10.5100/jje.54.174 |
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Summary: | 本研究は,女性を対象として靴のソールの摩耗による靴底の形状変形が歩行中の下肢安定性に与える影響を明らかにすることを目的とした.若年女性49名が使用した靴の摩耗計測結果をもとに,踵の外側が顕著に摩耗した靴の特徴を反映させた3条件の靴を作製して,摩耗形状に適合する9名に着用させて歩行中の床反力を計測した.その結果,摩耗の厚さが7.4 mm程度で前額面からみて靴底が8.0°程度外側に反り上がった靴では,踵接地から荷重応答期にかけて足圧中心の内外方向の動揺が大きくなることが示された.一方,摩耗の厚さが1.0~4.0 mm程度で外側への傾斜が1.0 ~4.3°程度の靴では,摩耗していない靴に比べて動揺が軽減されることが示された.以上のことから,ソールの踵部分は,外側に向かい反り上がった形状にすることで下肢安定性に貢献するが,摩耗によって反り上りが顕著になれば,不安定性を助長することが示唆された. |
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ISSN: | 0549-4974 1884-2844 |
DOI: | 10.5100/jje.54.174 |