特定機能病院の看護師における嚥下調整食の理解と食形態アセスメントの困難および不安状況

【目的】特定機能病院の看護師における嚥下調整食の理解と,食形態アセスメントの困難および不安状況を明らかにする.【方法】 A特定機能病院の病棟看護師 540名に嚥下調整食に関する調査票を配布し,回答の得られた 367名を分析対象とした.また,過去 1年間の嚥下調整食の使用患者について,開始時の所属病棟,年齢等を診療録より収集した.【結果】嚥下調整食の使用患者の 53.2%は 60歳以上で,患者は集中治療部を除くすべての病棟に含まれた.看護師調査において,嚥下調整食の使用患者数の多い病棟と少ない病棟の看護師 2群で比較したところ,多い病棟の看護師のほうが「日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調...

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Published in日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 22; no. 1; pp. 20 - 26
Main Authors 齋藤, 和美, 松谷, 涼子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 30.04.2018
日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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Summary:【目的】特定機能病院の看護師における嚥下調整食の理解と,食形態アセスメントの困難および不安状況を明らかにする.【方法】 A特定機能病院の病棟看護師 540名に嚥下調整食に関する調査票を配布し,回答の得られた 367名を分析対象とした.また,過去 1年間の嚥下調整食の使用患者について,開始時の所属病棟,年齢等を診療録より収集した.【結果】嚥下調整食の使用患者の 53.2%は 60歳以上で,患者は集中治療部を除くすべての病棟に含まれた.看護師調査において,嚥下調整食の使用患者数の多い病棟と少ない病棟の看護師 2群で比較したところ,多い病棟の看護師のほうが「日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013」の学習経験( p= 0.017),嚥下調整食の定義,コード 3と 4の違い等に関する理解( p< 0.001)が高く,有意差が認められた.また,嚥下調整食を使用する患者のケア経験のある看護師 132名中,食形態アセスメントの困難や不安を有する者は約 70%であり, 2群間に有意差は認められなかった(困難 p= 0.182,不安 p= 0.800).【考察】高齢化率の上昇に伴い,多くの病棟で摂食嚥下障害を有する高齢者への看護実践力が求められている.看護師における食形態アセスメントの困難や不安の背景には,嚥下調整食を含めた摂食嚥下に関する知識や,個別性に合わせた看護実践力の不足が考えられ,摂食嚥下障害に関する学習機会を提供する必要性が示唆された.【結論】嚥下調整食の使用患者との関わりの多い看護師は,嚥下調整食の理解が良好であった.しかし,嚥下調整食の使用患者との関わりの程度によらず,看護師は食形態アセスメントに関して困難や不安を有していた.
ISSN:1343-8441
2434-2254
DOI:10.32136/jsdr.22.1_20