Dダイマー・FDPの逆転現象に対しDTTが有用であった1症例

フィブリン・フィブリノゲン分解産物(FDP)およびD-ダイマー(D-D)は, 代表的な線溶系のマーカーである. FDPはフィブリンまたはフィブリノゲンが線溶系蛋白分解酵素の代表であるプラスミンにより切断分解されて生じる分解産物の総称であり, 起源, 分子サイズの異なるさまざまな分画が存在する. そのため, FDPの単独測定では一次線溶と二次線溶の鑑別は困難である1,2). 一方, D-Dは架橋結合した安定化フィブリンが分解されて産生されるFDP分画のひとつであり, フィブリン血栓形成の証拠となる二次線溶のマーカーとして用いられる. 両者の同時測定にて一次線溶と二次線溶の鑑別が可能であり, DI...

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Published in医学検査 Vol. 63; no. 1; pp. 86 - 89
Main Authors 松田, 定信, 井上, 千尋, 三好, 雅士, 土井, 俊夫, 高松, 典通
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.01.2014
日本臨床衛生検査技師会
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.5833/jamt.13-40

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Summary:フィブリン・フィブリノゲン分解産物(FDP)およびD-ダイマー(D-D)は, 代表的な線溶系のマーカーである. FDPはフィブリンまたはフィブリノゲンが線溶系蛋白分解酵素の代表であるプラスミンにより切断分解されて生じる分解産物の総称であり, 起源, 分子サイズの異なるさまざまな分画が存在する. そのため, FDPの単独測定では一次線溶と二次線溶の鑑別は困難である1,2). 一方, D-Dは架橋結合した安定化フィブリンが分解されて産生されるFDP分画のひとつであり, フィブリン血栓形成の証拠となる二次線溶のマーカーとして用いられる. 両者の同時測定にて一次線溶と二次線溶の鑑別が可能であり, DICやDVTの診断・治療に際し有用な指標として用いられている3,4). 前述のとおりD-DはFDPの1分画であるため, 一般的にはFDPがD-Dより高値となるが, 抗体の特異度・反応性の差に起因する乖離現象やγ-グロブリン・HAMA等による非特異反応により引き起こされる逆転現象も報告されている5,6).
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.5833/jamt.13-40