病歴からの考察が診断契機となった中性脂肪蓄積心筋血管症

症例は54歳男性,2年前の職場検診で糖尿病と高血圧症を指摘されていたが医療機関は未受診であった.6カ月程前から明らかな誘因なく,労作時息切れと易疲労感を自覚するようになり近医を受診した.当院へ紹介となり,脈拍99/分,血圧152/94 mmHg,SpO2 98%(室内気)で両側下腿に圧痕性浮腫を認められ,経胸壁心臓超音波で左室駆出率49%の左室収縮障害を認め心不全と診断された.標準的薬剤治療により心不全は速やかに改善したが,冠動脈造影で特に左冠動脈においてびまん性の狭窄所見が認められた.びまん性冠動脈硬化を伴う心不全症例であり,末梢血血液像ではJordans異常を認められたことも契機にiodi...

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Published in心臓 Vol. 55; no. 6; pp. 599 - 606
Main Authors 平野, 賢一, 前野, 健一, 刀根, 克之, 中村, 小織, 高村, 武志, 坂部, 茂俊, 世古, 哲哉, 中村, 憲二, 堀口, 昌秀, 笠井, 篤信, 杉本, 慶子, 森, 達哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.06.2023
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.55.599

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Summary:症例は54歳男性,2年前の職場検診で糖尿病と高血圧症を指摘されていたが医療機関は未受診であった.6カ月程前から明らかな誘因なく,労作時息切れと易疲労感を自覚するようになり近医を受診した.当院へ紹介となり,脈拍99/分,血圧152/94 mmHg,SpO2 98%(室内気)で両側下腿に圧痕性浮腫を認められ,経胸壁心臓超音波で左室駆出率49%の左室収縮障害を認め心不全と診断された.標準的薬剤治療により心不全は速やかに改善したが,冠動脈造影で特に左冠動脈においてびまん性の狭窄所見が認められた.びまん性冠動脈硬化を伴う心不全症例であり,末梢血血液像ではJordans異常を認められたことも契機にiodine-123-β-methyl-p-iodophenyl-pentadecanoic acid(123I-BMIPP)シンチグラフィが実施され中性脂肪蓄積心筋血管症の診断に至った.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.55.599