経皮的冠動脈インターベンションにおける末梢保護デバイスで合併症を生じた2例

背景: 経皮的冠動脈インターベンション(percutanious coronary intervention; PCI)における末梢塞栓の予防を目的とした末梢保護デバイスとして, 本邦ではPercusurge GuardwireとFiltrapがあるが, いずれのデバイスも標的病変の遠位側の冠動脈壁を傷害する可能性がある. 目的: Guardwire(Percusurge)とFiltrapにより標的病変の遠位側の冠動脈壁を傷害することで合併症を生じたと思われる2症例について報告する. 症例1: 55歳, 男性. 急性心筋梗塞にて来院し, 左前下行枝#6の完全閉塞に対しGuardwire下に血栓...

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Published in心臓 Vol. 41; no. 7; pp. 809 - 815
Main Authors 池永, 寛樹, 臺, 和興, 石原, 正治, 嶋谷, 祐二, 栗栖, 智, 中間, 泰晴, 丸橋, 達也, 井上, 一郎, 河越, 卓司, 松下, 純一, 香川, 英介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
日本心臓財団
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.41.809

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Summary:背景: 経皮的冠動脈インターベンション(percutanious coronary intervention; PCI)における末梢塞栓の予防を目的とした末梢保護デバイスとして, 本邦ではPercusurge GuardwireとFiltrapがあるが, いずれのデバイスも標的病変の遠位側の冠動脈壁を傷害する可能性がある. 目的: Guardwire(Percusurge)とFiltrapにより標的病変の遠位側の冠動脈壁を傷害することで合併症を生じたと思われる2症例について報告する. 症例1: 55歳, 男性. 急性心筋梗塞にて来院し, 左前下行枝#6の完全閉塞に対しGuardwire下に血栓吸引, ステント留置を行った. 冠動脈造影上不整がなく, PCIを終了した. その14時間後急性冠閉塞を生じたため再度PCIを施行. 事後primary PCI時の血管内視鏡を見直してみると, protection balloon部の壁に淡い赤色のびらんが認められ, 同部位より急性冠閉塞が生じたと診断した. 症例2: 63歳, 男性. 冠攣縮性狭心症の既往があり内服加療を行っていたが自己判断にて中止していた. 内服中止1年後より胸痛が頻発するようになったため当院受診した. 冠拡張薬の内服にても発作は完全に消失しなかったため動脈硬化性の病変を疑い冠動脈造影を施行. 左前下行枝#6: 90%の狭窄を認めた. 冠拡張薬の冠注にても狭窄は解除されず血管内超音波(intravascular ultrasound; IVUS)にてnecrotic coreを含むplaqueを認めたため, Filtrap下にステント留置を行った. その後protection filterが位置していた部位に薬剤抵抗性の冠攣縮が生じた. 結語: 末梢保護デバイスでは, かかる合併症の可能性があり, リスクとベネフィットを考えて適応を選択する必要がある.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.809