歯周炎病態形成における歯肉線維芽細胞とTリンパ球の接着性細胞間相互作用の意義―CD13陽性Tリンパ球の解析を中心に

「はじめに」炎症歯周組織には多数のリンパ球系細胞が集積し, その病態形成に重要な役割を果たしていることが一連の研究により明らかにされてきた. リンパ球はサイトカインや抗体の産生を担い, 免疫反応の中心的な働きを演じている細胞であるが, 炎症部位で働きを終えたリンパ球は, 通常アポトーシスあるいは貪食作用により炎症巣から排除され, 同部の炎症反応は終息へと向かうことになる. しかしながら, 近年炎症結合組織においてリンパ球等の浸潤細胞と線維芽細胞が長期にわたり接触すると, リンパ球のアポトーシスが抑制され, 炎症巣での定着・集積が促進されることになり, 同部の炎症が遷延化し慢性炎症へと移行するモ...

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Published in炎症・再生 Vol. 24; no. 2; pp. 92 - 99
Main Authors 岸田, 健, 佐保, 輝之, 平野, 裕之, 島袋, 善夫, 村上, 伸也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本炎症・再生医学会 2004
日本炎症・再生医学会
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Summary:「はじめに」炎症歯周組織には多数のリンパ球系細胞が集積し, その病態形成に重要な役割を果たしていることが一連の研究により明らかにされてきた. リンパ球はサイトカインや抗体の産生を担い, 免疫反応の中心的な働きを演じている細胞であるが, 炎症部位で働きを終えたリンパ球は, 通常アポトーシスあるいは貪食作用により炎症巣から排除され, 同部の炎症反応は終息へと向かうことになる. しかしながら, 近年炎症結合組織においてリンパ球等の浸潤細胞と線維芽細胞が長期にわたり接触すると, リンパ球のアポトーシスが抑制され, 炎症巣での定着・集積が促進されることになり, 同部の炎症が遷延化し慢性炎症へと移行するモデルが提唱されている. したがって, 結合組織における炎症の慢性化には, リンパ球と線維芽細胞間の接着が深く関与していると考えられている.
ISSN:1346-8022
1880-5795
DOI:10.2492/jsir.24.92