敗血症時のAutophagyと栄養管理

Autophagyは, 細胞の自己成分をlysosomeに運び込み分解する機構であり, 必ずしも細胞死を意味するわけではない. 飢餓応答としての栄養供給という働き以外にも, 不要なオルガネラの分解, 病原微生物の排除, 腫瘍抑制などの役割も確認されており, むしろ生命維持に必須のシステムである. そして敗血症病態下での重要臓器 (肝, 腎, 脾臓の免疫担当細胞など) においては, 発症早期には一過性にautophagyは亢進するものの, その後停滞傾向に向かうことが判明してきており, 臓器保護的な役割を担っている. 一方, 敗血症時の骨格筋では, autophagy過活性が筋萎縮を惹起すること...

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Published in外科と代謝・栄養 Vol. 53; no. 6; pp. 287 - 292
Main Author 渡邉, 栄三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本外科代謝栄養学会 15.12.2019
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ISSN0389-5564
2187-5154
DOI10.11638/jssmn.53.6_287

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Summary:Autophagyは, 細胞の自己成分をlysosomeに運び込み分解する機構であり, 必ずしも細胞死を意味するわけではない. 飢餓応答としての栄養供給という働き以外にも, 不要なオルガネラの分解, 病原微生物の排除, 腫瘍抑制などの役割も確認されており, むしろ生命維持に必須のシステムである. そして敗血症病態下での重要臓器 (肝, 腎, 脾臓の免疫担当細胞など) においては, 発症早期には一過性にautophagyは亢進するものの, その後停滞傾向に向かうことが判明してきており, 臓器保護的な役割を担っている. 一方, 敗血症時の骨格筋では, autophagy過活性が筋萎縮を惹起することも報告され, 臓器やその構成細胞によっては諸刃の剣である. 敗血症とautophagyの関与の解明と, autophagyの生体でのモニタリング手法の確立が, 敗血症時のautophagy動態の制御を企図した栄養管理実現へのポイントである.
ISSN:0389-5564
2187-5154
DOI:10.11638/jssmn.53.6_287