前立腺癌で加療中にたこつぼ型心筋症を発症し,後にステロイド自己中断による副腎不全が判明した1例

症例は77歳男性.前立腺癌再発の診断で当院泌尿器科へ通院しステロイド内服中であった.前日より持続する胸部不快感を自覚し泌尿器科を受診.心電図で胸部誘導のST上昇と血液検査で心筋逸脱酵素上昇を認め当科紹介となった.緊急冠動脈造影では有意狭窄を認めず,左室造影所見よりたこつぼ型心筋症の診断となり入院となった.入院後に施行した血液検査で血清ナトリウム値116 mmol/Lと著明な低ナトリウム血症を認め,確認したところステロイド自己中断により副腎不全をきたした可能性が考えられた.入院前の精神的なストレスとなるエピソードはなく,ステロイド自己中断が誘因となり,たこつぼ型心筋症を発症したと考えられた....

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Published in心臓 Vol. 52; no. 1; pp. 70 - 74
Main Authors 酒井, 峻太郎, 西崎, 史恵, 遠藤, 知秀, 澁谷, 修司, 花田, 賢二, 横田, 貴志, 富田, 泰史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.01.2020
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:症例は77歳男性.前立腺癌再発の診断で当院泌尿器科へ通院しステロイド内服中であった.前日より持続する胸部不快感を自覚し泌尿器科を受診.心電図で胸部誘導のST上昇と血液検査で心筋逸脱酵素上昇を認め当科紹介となった.緊急冠動脈造影では有意狭窄を認めず,左室造影所見よりたこつぼ型心筋症の診断となり入院となった.入院後に施行した血液検査で血清ナトリウム値116 mmol/Lと著明な低ナトリウム血症を認め,確認したところステロイド自己中断により副腎不全をきたした可能性が考えられた.入院前の精神的なストレスとなるエピソードはなく,ステロイド自己中断が誘因となり,たこつぼ型心筋症を発症したと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.52.70