心臓移植患者に対する認知機能評価の経験

「I. 緒言」 近年, 循環器病の代表疾患である心不全, 心筋梗塞, 心房細動およびメタボリックシンドロームなどが認知機能に悪影響を与えていることが報告されている1). 中でも心不全患者の認知機能低下はよくみられ, 神経心理学的検査において, 言語性記憶や学習, 情報処理速度の成績が低下するといわれている2-3). その原因については心拍出量や血圧の低下, 微小脳塞栓症が関連するとされている2-5). 末期的重症心不全患者の治療に用いられる左室補助人工心臓は, 本邦では長年, 体外式拍動型の国循型left ventricular assist system(LVAS, Nipro社)が使用され...

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Published in移植 Vol. 48; no. 4-5; pp. 253 - 258
Main Authors 大村, 千穂, 矢内, 敬子, 牧田, 茂, 伊藤, 純平, 井口, 篤志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 10.09.2013
日本移植学会
Subjects
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.48.253

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Summary:「I. 緒言」 近年, 循環器病の代表疾患である心不全, 心筋梗塞, 心房細動およびメタボリックシンドロームなどが認知機能に悪影響を与えていることが報告されている1). 中でも心不全患者の認知機能低下はよくみられ, 神経心理学的検査において, 言語性記憶や学習, 情報処理速度の成績が低下するといわれている2-3). その原因については心拍出量や血圧の低下, 微小脳塞栓症が関連するとされている2-5). 末期的重症心不全患者の治療に用いられる左室補助人工心臓は, 本邦では長年, 体外式拍動型の国循型left ventricular assist system(LVAS, Nipro社)が使用されてきた. しかし, LVASの心拍出量は最大でも4lとされており6), 患者の体表面積によっては拍出量が大きく不足する. そのため認知機能低下への影響が懸念されるが, これまでLVAS装着患者に対し脳血流評価や神経心理学的検査を用いて評価を行った報告は少ない.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.48.253