集中治療患者における refeeding syndrome
集中治療患者への早期からの栄養治療において至適栄養量の推定は困難であり,時としてRefeeding syndrome(以下RFS)をきたす.RFS は明確な診断基準がなく,強いるい痩を示さずともアルコール依存や薬物使用歴の併存により発症リスクは高くなる.その病態はおもに低リン血症と高血糖,それに続く容量負荷と考えられ,全細胞機能低下により複数の重要臓器障害をきたす.RFS の検査所見はリンの測定だけでなく総合的な栄養評価を入室後少なくとも5 日間継続する必要があり,RFS が除外されるまではPermissive underfeeding 管理とすることが望ましい. 重症病態の初期栄養はove...
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Published in | 外科と代謝・栄養 Vol. 50; no. 6; pp. 321 - 326 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本外科代謝栄養学会
2016
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0389-5564 2187-5154 |
DOI | 10.11638/jssmn.50.6_321 |
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Summary: | 集中治療患者への早期からの栄養治療において至適栄養量の推定は困難であり,時としてRefeeding syndrome(以下RFS)をきたす.RFS は明確な診断基準がなく,強いるい痩を示さずともアルコール依存や薬物使用歴の併存により発症リスクは高くなる.その病態はおもに低リン血症と高血糖,それに続く容量負荷と考えられ,全細胞機能低下により複数の重要臓器障害をきたす.RFS の検査所見はリンの測定だけでなく総合的な栄養評価を入室後少なくとも5 日間継続する必要があり,RFS が除外されるまではPermissive underfeeding 管理とすることが望ましい. 重症病態の初期栄養はoverfeeding による弊害に注意が必要だが,その機序はRFS と共通の経路と症状をきたし,互いに重なる部分が大きい.集中治療患者はRFS のリスクが高いと考えスクリーニング検査と早期の制限した栄養により有害事象を抑え,これらの病態を適切に認識し対処することが肝要である. |
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ISSN: | 0389-5564 2187-5154 |
DOI: | 10.11638/jssmn.50.6_321 |