経カテーテル治療にて治療しえた連合弁膜症による高齢心不全の1例
症例は80歳女性.2年前に心不全を伴う大動脈弁狭窄症(aortic stenosis;AS)ならびにP3の逸脱による僧帽弁閉鎖不全症(mitral regurgitation;MR)と診断され外科手術を検討されていたが,手術不耐と判断され保存的加療の方針となっていた.その後も心不全増悪入院を繰り返し,内服加療での管理が困難となり当院紹介となった.術前評価では,両弁置換術は周術期リスクが高く困難である一方で,経カテーテル的大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation;TAVI)と経皮的僧帽弁接合不全修復術(transcatheter mitral...
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Published in | 心臓 Vol. 55; no. 1; pp. 48 - 53 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.01.2023
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
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Summary: | 症例は80歳女性.2年前に心不全を伴う大動脈弁狭窄症(aortic stenosis;AS)ならびにP3の逸脱による僧帽弁閉鎖不全症(mitral regurgitation;MR)と診断され外科手術を検討されていたが,手術不耐と判断され保存的加療の方針となっていた.その後も心不全増悪入院を繰り返し,内服加療での管理が困難となり当院紹介となった.術前評価では,両弁置換術は周術期リスクが高く困難である一方で,経カテーテル的大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation;TAVI)と経皮的僧帽弁接合不全修復術(transcatheter mitral valve repair;TMVr)の二期的治療が可能であると判断した.第14病日にTAVIを施行した.人工弁留置後,急性左室内腔虚脱を起こしたため十分量の輸液負荷を要し,術後の心不全管理に難渋した.第30病日にTMVrを施行した.クリップを2つ留置し,MRは1度まで改善した.術後経過は良好で第42病日に紹介元へ転院となり,リハビリテーションを経て自宅退院となった.近年,構造的心疾患に対するカテーテル治療が普及しているが,連合弁膜症に対しての報告は少ない.本症例に関して文献的考察を交えて報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.55.48 |