非造影T1強調心臓MRIで不安定プラークの増悪をとらえた1例

症例は80歳代,男性.2010年に心室細動の蘇生後に左冠動脈主幹部から左前下行枝の狭窄に対してステント留置が行われた.2011年には左回旋枝の慢性完全閉塞病変に対してカテーテル治療が施行された.以後,外来で経過観察していたが,2015年の非造影MRIのT1強調法によるプラーク評価で右冠動脈遠位部に高輝度プラーク(high-intensity plaque;HIP)が認められた.冠動脈造影では同部に有意狭窄は認めず,食事運動療法を再度指導して経過をみた.半年後のHIPは増悪しており,オメガ3脂肪酸エチルを追加して経過観察した.しかし,さらに半年後のMRIではHIPの著明な増悪を認め,狭窄の進行も...

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Published in心臓 Vol. 50; no. 1; pp. 66 - 71
Main Authors 大下, 晃, 河野, 佑典, 三好, 徹, 川上, 秀生, 松岡, 宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.01.2018
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:症例は80歳代,男性.2010年に心室細動の蘇生後に左冠動脈主幹部から左前下行枝の狭窄に対してステント留置が行われた.2011年には左回旋枝の慢性完全閉塞病変に対してカテーテル治療が施行された.以後,外来で経過観察していたが,2015年の非造影MRIのT1強調法によるプラーク評価で右冠動脈遠位部に高輝度プラーク(high-intensity plaque;HIP)が認められた.冠動脈造影では同部に有意狭窄は認めず,食事運動療法を再度指導して経過をみた.半年後のHIPは増悪しており,オメガ3脂肪酸エチルを追加して経過観察した.しかし,さらに半年後のMRIではHIPの著明な増悪を認め,狭窄の進行も疑われたため冠動脈造影を施行した.HIP部位は,光干渉断層法でプラークの破綻を認め,血管内視鏡では高度の黄色調プラークに血栓付着を認めた.狭窄も進行していたため,末梢保護用フィルター使用下にステント留置を行った. 今回,心臓MRIでHIPの増悪した症例に対して,光干渉断層法および血管内視鏡で評価し治療した症例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.50.66