急性胆嚢炎の治療方針update

急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018(Tokyo Guidelines 2018:TG18)発刊後のエビデンスを紹介した.2018年のNCDデータを用いた研究により胆嚢摘出術(胆摘)の術後90日死亡率が0.6%と決して低くないことが明らかとなった.カナダでの大規模観察研究により,早期胆摘は待機的胆摘よりも胆管損傷が有意に少ないことが示された.PTGBDに関する高いレベルのエビデンスはなかったが,オランダで行われた腹腔鏡下胆摘(Lap-C)と比較するrandomized controlled trialが報告された.PTGBD群で胆道疾患再燃率,重篤な合併症発生率は有意に高かったが,死亡率...

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Published in胆道 Vol. 36; no. 2; pp. 106 - 112
Main Author 三浦, 文彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本胆道学会 31.05.2022
日本胆道学会
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Summary:急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018(Tokyo Guidelines 2018:TG18)発刊後のエビデンスを紹介した.2018年のNCDデータを用いた研究により胆嚢摘出術(胆摘)の術後90日死亡率が0.6%と決して低くないことが明らかとなった.カナダでの大規模観察研究により,早期胆摘は待機的胆摘よりも胆管損傷が有意に少ないことが示された.PTGBDに関する高いレベルのエビデンスはなかったが,オランダで行われた腹腔鏡下胆摘(Lap-C)と比較するrandomized controlled trialが報告された.PTGBD群で胆道疾患再燃率,重篤な合併症発生率は有意に高かったが,死亡率には差がなかった.これによりPTGBDのLap-Cが施行できない場合のサルベージとしての妥当性は示されたとも考えられる.胆嚢ドレナージ法と胆嚢ドレナージ後の至摘手術時期については,今後のエビデンスの集積が待たれる.患者の状態を十分に把握した上で施設の状況を加味した治療選択が望まれる.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.36.106