心内腫瘍浸潤による完全房室ブロックを契機に診断されたstage IV非Hodgkinリンパ腫の1例

症例は68歳, 男性. 下腿浮腫, 労作時息切れ, 全身倦怠感を主訴に近医を受診し, 精査目的で当院へ紹介された. 来院時心電図で心拍数30台の完全房室ブロックを認めたため一時的にペースメーカーを挿入し, 入院した. 心臓超音波検査では心房中隔から心室中隔の一部にかけて右心系に突出した巨大な腫瘤が認められた. その後の精査で非Hodgkinリンパ腫と診断されたことから, 同疾患の心内浸潤と判断した. 化学療法を施行し, 1クール終了後腫瘍の若干の退縮が認められたが, その後病勢が進行し全身状態は徐々に悪化, さらに感染を合併したため敗血症・多臓器不全となり永眠された. 原発性, 転移性を問わず...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 41; no. 2; pp. 147 - 151
Main Authors 伊藤, 順子, 稲葉, 理, 萬野, 智子, 清岡, 崇彦, 大下, 哲, 小川, 亨, 櫻井, 馨, 田原, 敬典, 横山, 泰廣, 佐藤, 康弘, 若杉, 恵介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
日本心臓財団
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は68歳, 男性. 下腿浮腫, 労作時息切れ, 全身倦怠感を主訴に近医を受診し, 精査目的で当院へ紹介された. 来院時心電図で心拍数30台の完全房室ブロックを認めたため一時的にペースメーカーを挿入し, 入院した. 心臓超音波検査では心房中隔から心室中隔の一部にかけて右心系に突出した巨大な腫瘤が認められた. その後の精査で非Hodgkinリンパ腫と診断されたことから, 同疾患の心内浸潤と判断した. 化学療法を施行し, 1クール終了後腫瘍の若干の退縮が認められたが, その後病勢が進行し全身状態は徐々に悪化, さらに感染を合併したため敗血症・多臓器不全となり永眠された. 原発性, 転移性を問わず, 生前に心臓症状から診断される悪性リンパ腫は稀である. 心内浸潤による完全房室ブロックを契機に診断されたstage IV非Hodgkinリンパ腫という比較的稀な1例を経験したので, 文献的考察を加え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.147