呼吸器疾患領域における吸入療法の重要性と期待
「1. はじめに」酸素化は生体にとって重要であり, 呼吸困難の症状に至る疾患は多様である. 酸素を取り込むために呼吸動作により胸腔内は陰圧となる. 上気道から気道, 気管支, 細気管支を通った酸素はサーファクタントで覆われた肺胞腔内に至り, I型肺胞上皮細胞から間質, 血管内皮細胞を抜け, 赤血球に取り込まれて循環器系により全身に運ばれる. この経路のいかなるレベルにおいても疾患病態が存在し, 呼吸困難という症状を呈する. 吸入療法は気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)を中心とする気道レベルの疾患治療目的に発達し, 近年の薬理学が生み出した新しい薬物送達技術により感染症治療, ワクチンへの...
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Published in | 薬剤学 Vol. 83; no. 3; pp. 124 - 128 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬剤学会
2023
日本薬剤学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0372-7629 2188-3149 |
DOI | 10.14843/jpstj.83.124 |
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Summary: | 「1. はじめに」酸素化は生体にとって重要であり, 呼吸困難の症状に至る疾患は多様である. 酸素を取り込むために呼吸動作により胸腔内は陰圧となる. 上気道から気道, 気管支, 細気管支を通った酸素はサーファクタントで覆われた肺胞腔内に至り, I型肺胞上皮細胞から間質, 血管内皮細胞を抜け, 赤血球に取り込まれて循環器系により全身に運ばれる. この経路のいかなるレベルにおいても疾患病態が存在し, 呼吸困難という症状を呈する. 吸入療法は気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)を中心とする気道レベルの疾患治療目的に発達し, 近年の薬理学が生み出した新しい薬物送達技術により感染症治療, ワクチンへの応用など多様に展開している. 本稿では呼吸器疾患の病態に求められる薬剤とその特徴について説明し, 今後に求められる吸入療法の展望について述べる. 「2. 気道疾患とその病態」吸入療法は気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する治療と共に大きく発展してきた. |
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ISSN: | 0372-7629 2188-3149 |
DOI: | 10.14843/jpstj.83.124 |