悪性肝門部領域胆管狭窄に対してinside stent留置中に仮性動脈瘤による胆道出血を来した1例

症例は70代男性.肝細胞癌に伴う閉塞性黄疸に対してinside stentを2本留置した.留置後37日目に心窩部痛が出現し,単純CTにて胆嚢内に血腫を疑う高吸収域を認めたため,肝細胞癌による胆道出血と考えられた.外瘻化目的に行った緊急ERCPにてinside stentを抜去すると胆管から大量の出血を認めたため両葉にENBDを留置し,腫瘍に対して動脈塞栓術を施行した.しかしその後も下血と貧血の進行を認めた.CTにて右肝動脈に仮性動脈瘤を疑う所見を認め,仮性動脈瘤の胆管穿破と判断し,再度動脈塞栓術を施行.血管造影にて右肝動脈に仮性動脈瘤を認め,出血源と判断しコイル塞栓を行った.その後再出血や貧血...

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Published in胆道 Vol. 38; no. 4; pp. 626 - 634
Main Authors 社本, 賢昭, 鈴木, 博貴, 松原, 浩, 内藤, 岳人, 牧野, 成彦, 浦野, 文博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本胆道学会 31.10.2024
日本胆道学会
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Summary:症例は70代男性.肝細胞癌に伴う閉塞性黄疸に対してinside stentを2本留置した.留置後37日目に心窩部痛が出現し,単純CTにて胆嚢内に血腫を疑う高吸収域を認めたため,肝細胞癌による胆道出血と考えられた.外瘻化目的に行った緊急ERCPにてinside stentを抜去すると胆管から大量の出血を認めたため両葉にENBDを留置し,腫瘍に対して動脈塞栓術を施行した.しかしその後も下血と貧血の進行を認めた.CTにて右肝動脈に仮性動脈瘤を疑う所見を認め,仮性動脈瘤の胆管穿破と判断し,再度動脈塞栓術を施行.血管造影にて右肝動脈に仮性動脈瘤を認め,出血源と判断しコイル塞栓を行った.その後再出血や貧血の進行なく経過したが,原病の悪化により死亡した.Plasticのinside stentを2本留置したことによる機械的刺激が仮性動脈瘤形成の原因と考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.38.626