家庭での抗がん薬二次曝露対策の説明に必要とされる効果的なリスクコミュニケーションの検討

「緒言」抗がん薬による医療従事者の職業性曝露は, 1970年代より多くの調査研究が行われ, 本邦では, 平成26年の厚生労働省通知(基安化発0529第1号平成26年5月29日「発がん性等を有する化学物質を含有する抗がん剤等に対するばく露防止対策について」)や2015年に策定されたガイドライン(2019年に改定)により, 医療現場でその対策が広く一般化した. 家庭内の抗がん薬曝露対策についても, 国内外の関連するガイドラインや関連学会などから一定の指針が公開されている. しかし, これまで医療現場に比べ, 家庭内では曝露量や曝露期間は限定的であると考えられ, 本邦では対策が十分に浸透しているとは...

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Published in医療薬学 Vol. 49; no. 3; pp. 88 - 101
Main Authors 宮澤, 真帆, 三浦, 里織, 岡元, るみ子, 岸本, 桂子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.03.2023
日本医療薬学会
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Summary:「緒言」抗がん薬による医療従事者の職業性曝露は, 1970年代より多くの調査研究が行われ, 本邦では, 平成26年の厚生労働省通知(基安化発0529第1号平成26年5月29日「発がん性等を有する化学物質を含有する抗がん剤等に対するばく露防止対策について」)や2015年に策定されたガイドライン(2019年に改定)により, 医療現場でその対策が広く一般化した. 家庭内の抗がん薬曝露対策についても, 国内外の関連するガイドラインや関連学会などから一定の指針が公開されている. しかし, これまで医療現場に比べ, 家庭内では曝露量や曝露期間は限定的であると考えられ, 本邦では対策が十分に浸透しているとは言い難いのが現状である. 特に抗がん薬そのものによる一次曝露に比べ, 患者の尿や汗などの排泄物を介した二次曝露については, 健康被害に関するエビデンスの不足や患者側の不安を助長させない配慮から積極的な情報提供に慎重な医療者も存在する.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.49.88