高齢者早期胃癌術後1年における肺炎罹患と筋肉減少

胃切除術は術後に筋肉減少が生じることが報告されている. 高齢胃切除後患者では筋肉減少と術後遠隔期肺炎罹患の関与が推察される. 術後1年に実施されたCT検査における肺炎像の出現と筋肉減少を調査した. 2005年1月~2012年12月にpT1胃癌に対し, リンパ節郭清を伴う胃切除を受けた75歳以上の患者156人を対象とした. 術後1年目のCT検査で新規肺炎像の出現を認めた群と認めなかった群の2群に分けて, 患者背景・筋肉減少率(CT でL3レベルにおける骨格筋断面積を用いた)を比較した. 術後1年目のCTで32人(20.5%)に新規肺炎像がみられた. 背景因子は両群間に有意な差は認めなかった. 筋...

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Published in外科と代謝・栄養 Vol. 58; no. 5; pp. 171 - 175
Main Authors 神谷, 綾子, 西野, 将司, 左近, 龍太, 吉川, 貴己, 林, 勉, 石津, 賢一, 和田, 剛幸, 山形, 幸徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本外科代謝栄養学会 15.10.2024
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ISSN0389-5564
2187-5154
DOI10.11638/jssmn.58.5_171

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Summary:胃切除術は術後に筋肉減少が生じることが報告されている. 高齢胃切除後患者では筋肉減少と術後遠隔期肺炎罹患の関与が推察される. 術後1年に実施されたCT検査における肺炎像の出現と筋肉減少を調査した. 2005年1月~2012年12月にpT1胃癌に対し, リンパ節郭清を伴う胃切除を受けた75歳以上の患者156人を対象とした. 術後1年目のCT検査で新規肺炎像の出現を認めた群と認めなかった群の2群に分けて, 患者背景・筋肉減少率(CT でL3レベルにおける骨格筋断面積を用いた)を比較した. 術後1年目のCTで32人(20.5%)に新規肺炎像がみられた. 背景因子は両群間に有意な差は認めなかった. 筋肉減少率の中央値は肺炎罹患群17.4%, 肺炎非罹患群12.4%で, 肺炎罹患群で筋肉減少率が有意に高かった(p=0.008). 高齢者の胃癌術後には比較的高率に肺炎像を認め, 肺炎像の出現は筋肉減少と関与することが示唆された.
ISSN:0389-5564
2187-5154
DOI:10.11638/jssmn.58.5_171