甲状腺手術における術後反回神経麻痺の臨床的検討

「1. はじめに」甲状腺手術の合併症として反回神経麻痺は重要である. 術後反回神経麻痺は音声機能や嚥下機能を損なう為, 可能な限り避けなければならない合併症である. 発生率は術後性反回神経麻痺3.0~14.6%, 永続性反回神経麻痺0.7~5.3%とこれまで報告されている. 合併症を避ける為には, 解剖を熟知し手術手技の修練をすることはもちろんだが, 術前にリスク因子を把握して準備することも重要である. 当科では院内quality indicatorとして, 甲状腺術後合併症を継続的にモニターしている. 今回, 当院における術後反回神経麻痺のリスク因子を同定し, 今後の予防のための指標を得るこ...

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Published in喉頭 Vol. 34; no. 1; pp. 19 - 24
Main Authors 澤田, 政史, 蝦原, 康宏, 井上, 準, 久場, 潔実, 林, 崇弘, 中平, 光彦, 菅澤, 正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 01.06.2022
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Summary:「1. はじめに」甲状腺手術の合併症として反回神経麻痺は重要である. 術後反回神経麻痺は音声機能や嚥下機能を損なう為, 可能な限り避けなければならない合併症である. 発生率は術後性反回神経麻痺3.0~14.6%, 永続性反回神経麻痺0.7~5.3%とこれまで報告されている. 合併症を避ける為には, 解剖を熟知し手術手技の修練をすることはもちろんだが, 術前にリスク因子を把握して準備することも重要である. 当科では院内quality indicatorとして, 甲状腺術後合併症を継続的にモニターしている. 今回, 当院における術後反回神経麻痺のリスク因子を同定し, 今後の予防のための指標を得ることを目的として, 患者因子・疾患因子・手術因子にて解析を行なった. 「2. 対象と方法」埼玉医科大学国際医療センター頭頸部腫瘍科において2018年4月~2019年12月に実施した甲状腺手術について後方視的に症例対象研究を行った.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx.34.19