腎移植後の悪性腫瘍発生について
「緒言」 昨今の免疫抑制剤の進歩により, 移植成績は格段と向上した. その反面, ウイルス感染症や悪性腫瘍などの合併症に関しても警鐘を鳴らす報告も多い. わが国の腎移植においても, 血液型不適合移植, 既存抗体陽性移植, 夫婦間移植の増加や二次移植など, 多種多様な移植を施行するケースも多くなってきた. そのため, 免疫抑制剤の曝露量は増加している傾向は否めない. 腎移植後の悪性腫瘍の発生状況に関してその数は増加傾向にあり, 一定の対策や方向性はあるものの, 十分ではないのが現状である. その一つの光として, わが国で2011年に腎移植領域で追加承認されたmTOR阻害薬(mTOR-i)は, 移...
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Published in | 移植 Vol. 49; no. 4-5; pp. 323 - 331 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2014
日本移植学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.49.323 |
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Summary: | 「緒言」 昨今の免疫抑制剤の進歩により, 移植成績は格段と向上した. その反面, ウイルス感染症や悪性腫瘍などの合併症に関しても警鐘を鳴らす報告も多い. わが国の腎移植においても, 血液型不適合移植, 既存抗体陽性移植, 夫婦間移植の増加や二次移植など, 多種多様な移植を施行するケースも多くなってきた. そのため, 免疫抑制剤の曝露量は増加している傾向は否めない. 腎移植後の悪性腫瘍の発生状況に関してその数は増加傾向にあり, 一定の対策や方向性はあるものの, 十分ではないのが現状である. その一つの光として, わが国で2011年に腎移植領域で追加承認されたmTOR阻害薬(mTOR-i)は, 移植後の悪性腫瘍発生を抑える可能性のある薬剤として期待され, sirolimusを使用した免疫抑制法で2年以内の発がん率に関して有用であるという報告がある. しかしながら, 術後短期間での結果であり, 長期的な成績に関しては今後の報告が待たれるところである. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.49.323 |