転職直後に頭頸部痛を伴わず動脈原性脳塞栓症で発症した特発性頭蓋外内頸動脈解離の1例

51歳の男性,高血圧などの既往はなかった.2012年11月下旬に突然の意識障害にて救急搬送.外傷の機転や頭頸部痛はなかった.意識レベルは傾眠,全失語と上下肢に1/5の右片麻痺を認めた.頭部Magnetic Resonance Imagingでは拡散強調画像(DWI)で左中大脳動脈(MCA)領域の広範な高信号を認め,Magnetic Resonance Angiography(MRA)では左内頸動脈(IC)の頸部からの信号の途絶と前交通動脈を介した左血流信号の左MCAのM1部での途絶を認めた.心電図では不整脈などの異常はなく,頸部左ICの急性閉塞と塞栓性脳梗塞が疑われた.エダラボン,アルガトロバ...

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Published inJOURNAL OF UOEH Vol. 36; no. 4; pp. 289 - 294
Main Authors 青山, 雄一, 大田, 信介, 藤田, 豊久, 西澤, 茂, 榊, 三郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 産業医科大学 01.12.2014
産業医科大学
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ISSN0387-821X
2187-2864
DOI10.7888/juoeh.36.289

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Summary:51歳の男性,高血圧などの既往はなかった.2012年11月下旬に突然の意識障害にて救急搬送.外傷の機転や頭頸部痛はなかった.意識レベルは傾眠,全失語と上下肢に1/5の右片麻痺を認めた.頭部Magnetic Resonance Imagingでは拡散強調画像(DWI)で左中大脳動脈(MCA)領域の広範な高信号を認め,Magnetic Resonance Angiography(MRA)では左内頸動脈(IC)の頸部からの信号の途絶と前交通動脈を介した左血流信号の左MCAのM1部での途絶を認めた.心電図では不整脈などの異常はなく,頸部左ICの急性閉塞と塞栓性脳梗塞が疑われた.エダラボン,アルガトロバンを使用し,血圧管理も行いつつ治療を行った.発症3日後の頭頸部MRAにて左中大脳動脈M1部の再開通,左頭蓋外ICの閉塞と同部血管壁の出血性変化を認め,特発性頭蓋外内頸動脈解離が疑われた.約2週間後の血管造影では解離部の再開通と数珠状変化(pearl & string sign)を認めた.発症4か月後には神経症状はほぼ消失し,解離部も良好に再構築された.
ISSN:0387-821X
2187-2864
DOI:10.7888/juoeh.36.289