術前の禁煙・禁酒による術前環境の適正化

術前の喫煙・飲酒は周術期合併症を増やし, 死亡率を上昇させることが知られている. 術前の集中的な禁煙・禁酒プログラムは術後の重篤な合併症 (創傷治癒,心肺合併症, 感染症など) の発生率を有意に低下させる. しかし, 手術までの短い期間に効率的な介入を行うことは容易ではない. 周術期管理センターは術前から手術を受ける患者をサポートするが, 主な役割として術前評価と患者教育があげられる. 患者教育の中で, 周術期の禁煙・禁酒指導は重要である. 特に禁煙介入では, 看護師や薬剤師, 麻酔科医を中心としたカウンセリングと禁煙補助薬の併用に大きな効果が期待できる. また禁酒介入は, 出血や感染などの術...

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Published in外科と代謝・栄養 Vol. 55; no. 5; pp. 175 - 178
Main Author 小林, 求
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本外科代謝栄養学会 2021
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ISSN0389-5564
2187-5154
DOI10.11638/jssmn.55.5_175

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Summary:術前の喫煙・飲酒は周術期合併症を増やし, 死亡率を上昇させることが知られている. 術前の集中的な禁煙・禁酒プログラムは術後の重篤な合併症 (創傷治癒,心肺合併症, 感染症など) の発生率を有意に低下させる. しかし, 手術までの短い期間に効率的な介入を行うことは容易ではない. 周術期管理センターは術前から手術を受ける患者をサポートするが, 主な役割として術前評価と患者教育があげられる. 患者教育の中で, 周術期の禁煙・禁酒指導は重要である. 特に禁煙介入では, 看護師や薬剤師, 麻酔科医を中心としたカウンセリングと禁煙補助薬の併用に大きな効果が期待できる. また禁酒介入は, 出血や感染などの術後合併症だけでなく, 術後せん妄予防の観点からも注目されている. 多職種連携による術前の禁煙・禁酒介入により, 患者の全身状態を改善させ, 周術期合併症を減少させ, 安全な周術期環境を提供できる可能性がある.
ISSN:0389-5564
2187-5154
DOI:10.11638/jssmn.55.5_175