当院における心臓外科手術に合併した急性硬膜下血腫の3例の検討

心臓外科手術の術中・術後に急性硬膜下血腫を発症した3症例を経験した.発症要因として,既報で論じられているヘパリン化や凝固能異常,マンニトールによる脳容積減少に加えて,術中の手技も発症の一要因としてなり得たのではないかと考察した.今回経験した1症例では,術中のBIS値の急激な低下が早期診断の一助となったが,心臓外科手術後の脳神経障害は,術中や術後の鎮静薬,鎮痛薬の影響で早期発見が困難である場合が多い.人工心肺を用いた心臓外科手術では特に高齢者において急性硬膜下血腫が発症し得ることを念頭に置き,術中に頭部に加わる外力を最小限にすることや,術後に定期的な中枢神経評価を行うことが重要である....

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 42; no. 4; pp. 323 - 327
Main Authors 佐久間, 絢, 上田, 朝美, 池田, 敏明, 玉井, 謙次, 高橋, 宏行, 佐藤, 智行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.07.2022
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Summary:心臓外科手術の術中・術後に急性硬膜下血腫を発症した3症例を経験した.発症要因として,既報で論じられているヘパリン化や凝固能異常,マンニトールによる脳容積減少に加えて,術中の手技も発症の一要因としてなり得たのではないかと考察した.今回経験した1症例では,術中のBIS値の急激な低下が早期診断の一助となったが,心臓外科手術後の脳神経障害は,術中や術後の鎮静薬,鎮痛薬の影響で早期発見が困難である場合が多い.人工心肺を用いた心臓外科手術では特に高齢者において急性硬膜下血腫が発症し得ることを念頭に置き,術中に頭部に加わる外力を最小限にすることや,術後に定期的な中枢神経評価を行うことが重要である.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.42.323