気管周囲に限局した縦隔原発リンパ形質細胞性リンパ腫の1例

症例は54歳男性.健診時の胸部X線写真の異常陰影を指摘され紹介された.胸部CTで気管周囲縦隔の軟部陰影を認めたが,同軟部陰影は一時的な縮小傾向を認めたため,経過観察とした.その後,徐々に同軟部陰影の増大を認めたため,初診から3年後に外科的に縦隔腫瘍の摘出術を施行した.病理所見では類円形のやや偏在する核や粗大なクロマチンを有する形質細胞様あるいは小リンパ球様細胞のびまん性の増殖を認め,免疫染色ではこれらの細胞はCD20陽性,IgM弱陽性で,CD3,CD5,CD10はいずれも陰性であったことから,リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma: LPL)と診断した....

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Published inJOURNAL OF UOEH Vol. 35; no. 3; pp. 213 - 218
Main Authors 石本, 裕士, 村木, 和彦, 川波, 敏則, 小野, 史朗, 長田, 周也, 神保, 充孝, 迎, 寛, 福田, 洋子, 湧田, 幸雄, 野口, 真吾, 矢寺, 和博, 山崎, 啓, 河野, 裕夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 産業医科大学 01.09.2013
産業医科大学
Subjects
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ISSN0387-821X
2187-2864
DOI10.7888/juoeh.35.213

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Summary:症例は54歳男性.健診時の胸部X線写真の異常陰影を指摘され紹介された.胸部CTで気管周囲縦隔の軟部陰影を認めたが,同軟部陰影は一時的な縮小傾向を認めたため,経過観察とした.その後,徐々に同軟部陰影の増大を認めたため,初診から3年後に外科的に縦隔腫瘍の摘出術を施行した.病理所見では類円形のやや偏在する核や粗大なクロマチンを有する形質細胞様あるいは小リンパ球様細胞のびまん性の増殖を認め,免疫染色ではこれらの細胞はCD20陽性,IgM弱陽性で,CD3,CD5,CD10はいずれも陰性であったことから,リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma: LPL)と診断した.本疾患は稀な疾患であり,気管周囲の縦隔に限局した報告はさらに稀であるが,手術を含めた積極的な組織診断的アプローチを試みることが重要と考えられた.
ISSN:0387-821X
2187-2864
DOI:10.7888/juoeh.35.213