運動学習理論と理学療法の接点

本稿では,理学療法の近接領域―心理学,生理学,力学―における知見や着想のいくつかを概観しながら,理学療法と運動学習の接点を検討する。技能獲得の方法論に“KR”という概念を与えたのは行動主義心理学である。一方,スキーマ理論は認知心理学の情報処理理論を利用しながら独自の概念を作り上げて行き,技能獲得の方法論を改定した。また,ダイナミカル・システムズ理論は,生理学領域の反射理論や階層理論を批判し,心理学領域からはエコロジカル・アプローチを取り入れ,さらに力学領域の理論も応用して構築された。ダイナミカル・システムズ理論の臨床応用が課題指向型アプローチである。運動学習は理論的にも臨床応用的にも“直ぐ使え...

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Published in理学療法科学 Vol. 21; no. 1; pp. 93 - 97
Main Author 大橋, ゆかり
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 理学療法科学学会 2006
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ISSN1341-1667
2434-2807
DOI10.1589/rika.21.93

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Summary:本稿では,理学療法の近接領域―心理学,生理学,力学―における知見や着想のいくつかを概観しながら,理学療法と運動学習の接点を検討する。技能獲得の方法論に“KR”という概念を与えたのは行動主義心理学である。一方,スキーマ理論は認知心理学の情報処理理論を利用しながら独自の概念を作り上げて行き,技能獲得の方法論を改定した。また,ダイナミカル・システムズ理論は,生理学領域の反射理論や階層理論を批判し,心理学領域からはエコロジカル・アプローチを取り入れ,さらに力学領域の理論も応用して構築された。ダイナミカル・システムズ理論の臨床応用が課題指向型アプローチである。運動学習は理論的にも臨床応用的にも“直ぐ使える”ようでありながら,なかなか理学療法の領域に浸透してこない。その理由は何か,運動学習理論を理学療法に取り込むには何が必要かを提言し,本稿の結びとする。
ISSN:1341-1667
2434-2807
DOI:10.1589/rika.21.93