重症患者のグルタミン投与
「I はじめに」 グルタミンは, 生体で最も豊富かつ体内のほとんどすべての組織で合成される非必須アミノ酸である. しかし, 小腸粘膜の最も重要なエネルギー基質であること, 免疫細胞でも旺盛に利用される不可欠な栄養素であることなどをはじめ, 生体においてさまざまな重要な働きを担っている. このようなことが明らかになるに伴い, 1980年代の終わり頃から栄養の分野で大いに注目を集めるようになった. そして, 熱傷や外傷といった重症患者にグルタミンを投与することが推奨されるようになり, ガイドラインにも記載されるに至った. しかし2013年に, 多臓器不全を伴うsepsis患者を対象とした多施設の大...
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Published in | 外科と代謝・栄養 Vol. 50; no. 2; pp. 143 - 147 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本外科代謝栄養学会
2016
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Subjects | |
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ISSN | 0389-5564 2187-5154 |
DOI | 10.11638/jssmn.50.2_143 |
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Summary: | 「I はじめに」 グルタミンは, 生体で最も豊富かつ体内のほとんどすべての組織で合成される非必須アミノ酸である. しかし, 小腸粘膜の最も重要なエネルギー基質であること, 免疫細胞でも旺盛に利用される不可欠な栄養素であることなどをはじめ, 生体においてさまざまな重要な働きを担っている. このようなことが明らかになるに伴い, 1980年代の終わり頃から栄養の分野で大いに注目を集めるようになった. そして, 熱傷や外傷といった重症患者にグルタミンを投与することが推奨されるようになり, ガイドラインにも記載されるに至った. しかし2013年に, 多臓器不全を伴うsepsis患者を対象とした多施設の大規模臨床試験(REDOXS試験)において, グルタミンの投与が死亡率を増加させるという結果が報告されたのを皮切りに, グルタミン投与の有効性に疑義が生じるだけでなく, 投与すべきではないという論調もみられるようになっている. |
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ISSN: | 0389-5564 2187-5154 |
DOI: | 10.11638/jssmn.50.2_143 |