通過障害を伴う切除不能進行胃癌に対して腸瘻造設でPerformance Statusが維持できた1例
症例は73歳の男性.腹部膨満感を主訴に近医受診し,胃癌疑いで当院紹介となった.精査の結果,通過障害を伴う胃癌の診断で手術加療の方針となった.術中所見でStageⅣと診断し,原発巣は膵浸潤が高度であったため,非切除バイパス術の方針とした.挙上空腸の吻合部が高位かつ前壁となり,術後通過障害の遺残が予想されたため,腸瘻造設を併施した.術後,通過障害に関しては飲水可能な程度までしか改善しなかったが,経腸栄養を自己管理することができたため退院となった.その後,化学療法はSOXを4クール,PTXを1クール施行できた. 通過障害を伴う胃癌に対する姑息手術では経口開始の遅れやPerformance Stat...
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Published in | 外科と代謝・栄養 Vol. 53; no. 2; pp. 111 - 117 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本外科代謝栄養学会
2019
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Subjects | |
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ISSN | 0389-5564 2187-5154 |
DOI | 10.11638/jssmn.53.2_111 |
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Summary: | 症例は73歳の男性.腹部膨満感を主訴に近医受診し,胃癌疑いで当院紹介となった.精査の結果,通過障害を伴う胃癌の診断で手術加療の方針となった.術中所見でStageⅣと診断し,原発巣は膵浸潤が高度であったため,非切除バイパス術の方針とした.挙上空腸の吻合部が高位かつ前壁となり,術後通過障害の遺残が予想されたため,腸瘻造設を併施した.術後,通過障害に関しては飲水可能な程度までしか改善しなかったが,経腸栄養を自己管理することができたため退院となった.その後,化学療法はSOXを4クール,PTXを1クール施行できた. 通過障害を伴う胃癌に対する姑息手術では経口開始の遅れやPerformance Status(以下PS)の低下から化学療法を延期や中止とする症例もある.本症例では通過障害の改善は不十分であったが,腸瘻造設をすることで栄養状態を維持し,PS低下なく退院して,外来化学療法も施行できた. |
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ISSN: | 0389-5564 2187-5154 |
DOI: | 10.11638/jssmn.53.2_111 |