敗血症急性肺障害の免疫調整栄養

「I はじめに」 重症敗血症・大侵襲時にしばしば生じる急性肺障害は, 治療に難渋することが多く, 予後も不良である. 過剰な炎症反応を調節し臓器障害の発症を予防・軽減できる栄養素として, 魚油に含まれるω-3系多価不飽和脂肪酸(ω-3PUFA)であるエイコサペンタエン酸(EPA), ドコサヘキサエン酸(DHA), ボラージオイルに含まれるω-6系多価不飽和脂肪酸(ω-6PUFA)であるγリノレン酸(GLA)が注目され, 数多くの動物実験で, その有効性が確認されてきた. その効果はいくつかのRCTでも検証され, その有効性からさまざまなガイドラインでも信頼度と推奨度の高い栄養療法として示されて...

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Published in外科と代謝・栄養 Vol. 50; no. 2; pp. 137 - 141
Main Author 深柄, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本外科代謝栄養学会 2016
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ISSN0389-5564
2187-5154
DOI10.11638/jssmn.50.2_137

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Summary:「I はじめに」 重症敗血症・大侵襲時にしばしば生じる急性肺障害は, 治療に難渋することが多く, 予後も不良である. 過剰な炎症反応を調節し臓器障害の発症を予防・軽減できる栄養素として, 魚油に含まれるω-3系多価不飽和脂肪酸(ω-3PUFA)であるエイコサペンタエン酸(EPA), ドコサヘキサエン酸(DHA), ボラージオイルに含まれるω-6系多価不飽和脂肪酸(ω-6PUFA)であるγリノレン酸(GLA)が注目され, 数多くの動物実験で, その有効性が確認されてきた. その効果はいくつかのRCTでも検証され, その有効性からさまざまなガイドラインでも信頼度と推奨度の高い栄養療法として示されてきた. しかし, 近年の新しいRCTの結果は, これらのガイドラインの見直しを迫るものとなっている. 本稿では, 敗血症急性肺障害の治療法としてのEPA, DHA, GLAによる免疫調整栄養の意義について, 最近の知見を加えて概説する.
ISSN:0389-5564
2187-5154
DOI:10.11638/jssmn.50.2_137