顎骨壊死予防地域連携クリニカルパスの開発とその効果についての検討
ビスフォスフォネート製剤および骨吸収阻害剤のデノスマブは副作用として顎骨壊死が発生することが知られている。顎骨壊死は口腔衛生状態の不良がリスクファクターとしてあげられており、その予防には医師と歯科医師の綿密な協力が不可欠である。 我々はがん治療を行う拠点病院の医師および歯科医師と地域の歯科医院が連携し、顎骨壊死の予防および治療を行うための地域連携クリニカルパスを開発し運用を行った。 顎骨壊死予防のための地域連携クリニカルパスの問題点として拠点病院と連携歯科医院間での情報共有の方法、受診間隔があげられた。地域連携クリニカルパスを運用した11症例のうち平成27年11月までに顎骨壊死が発生した症例は...
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Published in | 日本クリニカルパス学会誌 Vol. 18; no. 3; pp. 201 - 207 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本クリニカルパス学会
10.09.2016
日本クリニカルパス学会 |
Subjects | |
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ISSN | 2187-6592 2436-1046 |
DOI | 10.50842/jjscp.18.3_201 |
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Summary: | ビスフォスフォネート製剤および骨吸収阻害剤のデノスマブは副作用として顎骨壊死が発生することが知られている。顎骨壊死は口腔衛生状態の不良がリスクファクターとしてあげられており、その予防には医師と歯科医師の綿密な協力が不可欠である。 我々はがん治療を行う拠点病院の医師および歯科医師と地域の歯科医院が連携し、顎骨壊死の予防および治療を行うための地域連携クリニカルパスを開発し運用を行った。 顎骨壊死予防のための地域連携クリニカルパスの問題点として拠点病院と連携歯科医院間での情報共有の方法、受診間隔があげられた。地域連携クリニカルパスを運用した11症例のうち平成27年11月までに顎骨壊死が発生した症例は2例であった。顎骨壊死が発生した症例では共に抗菌薬の長期投与が行われたが、地域連携を行ったことで早期に顎骨壊死を発見したことから、症状は日常生活に支障のない状態で維持することが可能であった。しかしながら連携歯科医院において顎骨壊死の診断、治療を行うことは困難であるなどの問題点が明らかとなった。 以上のことから、地域連携による顎骨壊死予防および治療は地域連携クリニカルパスを用いることにより実施が可能であると考えられた。しかしながら、拠点病院と連携歯科医院との役割分担およびそれぞれの施設間での情報共有の方法、顎骨壊死の予防法の統一などが今後課題となると考えられた。 |
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ISSN: | 2187-6592 2436-1046 |
DOI: | 10.50842/jjscp.18.3_201 |