妊産婦死亡について

「はじめに」かつて日本は, ほかの先進諸国と比較して周産期死亡率(1,000の出産数に対する妊娠22週以降の死産数 + 早期新生児死亡数の割合)は低いものの, 妊産婦死亡率(10万の出産数に対する妊産中~出産後42日未満の女性の死亡数の割合)はそれほど低くない国であると評価されていた. しかし現在では, 周産期医療体制・連携等が整ってきたことから妊産婦死亡率も世界で有数の低さ(2020年:2.7)となっている. 妊産婦死亡が減少してきた近年の要因のひとつとして, 日本産婦人科医会が2010年以降, 毎年妊産婦死亡症例からその主原因や背景を解析して「母体安全への提言」としてHPに公開し, 妊産婦...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 21; no. 2; pp. 186 - 187
Main Author 鈴木, 俊治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 20.04.2025
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Summary:「はじめに」かつて日本は, ほかの先進諸国と比較して周産期死亡率(1,000の出産数に対する妊娠22週以降の死産数 + 早期新生児死亡数の割合)は低いものの, 妊産婦死亡率(10万の出産数に対する妊産中~出産後42日未満の女性の死亡数の割合)はそれほど低くない国であると評価されていた. しかし現在では, 周産期医療体制・連携等が整ってきたことから妊産婦死亡率も世界で有数の低さ(2020年:2.7)となっている. 妊産婦死亡が減少してきた近年の要因のひとつとして, 日本産婦人科医会が2010年以降, 毎年妊産婦死亡症例からその主原因や背景を解析して「母体安全への提言」としてHPに公開し, 妊産婦死亡を予防するためのシミュレーション教育を実践する講習会を普及させてきたことがあげられる. 「母体安全への提言」によると, 妊産婦死亡の原因は産科危機的出血が最も多く, 次いで頭蓋内出血・梗塞, 心肺虚脱型羊水塞栓症となる.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.21.186