表在リンパ節腫脹に占める頸部亜急性壊死性リンパ節炎の割合と臨床像
頸部リンパ節腫脹を主訴とする疾患の中でも予後良好な亜急性壊死性リンパ節炎について, 表在リンパ節生検総数に占める割合, 及びその臨床像について統計的に観察した. 対象及び方法: 1987年4月~1997年3月までの10年間に, 県立那覇病院において全身各所の表在リンパ節生検を行い, 病理学的に確定診断された例のみを対象にした. 結果: 表在リンパ節生検総数629例中, 本疾患は54例存在し, 生検全体に占める割合は9%, 頸部リンパ節生検に占める割合は13%であった. 54例の内男性18例, 女性36例であた. 年齢は男女とも10~30歳代までの若年者で87%を占めた. 発症時期については19...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 102; no. 5; pp. 635 - 642 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
1999
日本耳鼻咽喉科学会 |
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Summary: | 頸部リンパ節腫脹を主訴とする疾患の中でも予後良好な亜急性壊死性リンパ節炎について, 表在リンパ節生検総数に占める割合, 及びその臨床像について統計的に観察した. 対象及び方法: 1987年4月~1997年3月までの10年間に, 県立那覇病院において全身各所の表在リンパ節生検を行い, 病理学的に確定診断された例のみを対象にした. 結果: 表在リンパ節生検総数629例中, 本疾患は54例存在し, 生検全体に占める割合は9%, 頸部リンパ節生検に占める割合は13%であった. 54例の内男性18例, 女性36例であた. 年齢は男女とも10~30歳代までの若年者で87%を占めた. 発症時期については1993年頃より減少傾向にあり, 発症月別には10~3月に好発した. 発熱, 腫脹, 疼痛, 合併症については54例中40例が調査対象となった. 発熱を伴った例は85%であった. 腫脹はすべての例で認められ, その期間は平均で2ヵ月持続した. 片側腫脹例は88%, 両側腫脹例は12%であった. 疼痛は75%に認められた. 合併症は30%に認められ, 内訳は薬物アレルギー, 皮疹, 糖尿病, 甲状腺機能低下症であった. 血液所見では白血球低下が82%にみられた. CRPは17%, ESRは13%, LDHは55%の症例で上昇した. 治療は, ステロイドは使用例全例に効果があった. 抗生物質は使用例のうち, 有効19%, 無効32%, 増悪29%であった. 解熱鎮痛剤については56%に効果があり, 25%は無効であった. 死亡例は1例もなかった. 結論: 本疾患は生検にいたらない数を考慮すると, 外来診療におけるリンパ節腫脹をきたす疾患の中に占める割合は高い. 片側腫脹例が88%で従来の報告より高かった. 本症例の30%に薬物アレルギーや自己免疫疾患などの合併症がみられたことや, 寒冷期に多く発症することなどから本疾患とアレルギー, 上気道感染との関係が示唆された. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.102.635 |