NICU内面会者のワクチン接種後水痘罹患と水平感染対策の経験

はじめに:NICUでワクチン接種後水痘(breakthrough水痘)罹患した養育者が面会したときの標準対応策が存在しない. 臨床経過:母親が自身のbreakthrough水痘に気づかず,極低出生体重児に面会したため病棟を28日間閉鎖した.水平感染予防策とし,新生児全例にアシクロビルまたはバラシクロビルを投与した.面会を受けた児と,水痘罹患歴および予防接種歴のない母親から出生した児に免疫グロブリン製剤を投与した.面会条件は,水痘の明確な罹患歴,水痘ワクチンの2回接種歴,そして水痘抗体のいずれかが確認できた者とした.この条件に満たない養育者は,水痘抗体価を検査した. 結果:条件を満たさない養育者...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 58; no. 1; pp. 18 - 23
Main Authors 村川, 哲郎, 村瀬, 正彦, 福岡, 絵美, 井川, 三緒, 宮沢, 篤生, 池田, 裕一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2022
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Summary:はじめに:NICUでワクチン接種後水痘(breakthrough水痘)罹患した養育者が面会したときの標準対応策が存在しない. 臨床経過:母親が自身のbreakthrough水痘に気づかず,極低出生体重児に面会したため病棟を28日間閉鎖した.水平感染予防策とし,新生児全例にアシクロビルまたはバラシクロビルを投与した.面会を受けた児と,水痘罹患歴および予防接種歴のない母親から出生した児に免疫グロブリン製剤を投与した.面会条件は,水痘の明確な罹患歴,水痘ワクチンの2回接種歴,そして水痘抗体のいずれかが確認できた者とした.この条件に満たない養育者は,水痘抗体価を検査した. 結果:条件を満たさない養育者は8組,14人存在した.抗体検査したすべての養育者で水痘抗体価陽性を確認した.水平感染例は発生しなかった. 考察:個別の対策を進めることで水平感染を予防し,NICU内での蔓延を阻止できた.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.58.1_18