稀な病理所見を呈した頸部悪性神経鞘腫の1例

51歳, 男性の右頸部交感神経原発の悪性神経鞘腫の1例を報告する. 本症例は, 病理組織学的に良性神経鞘腫から悪性転化した悪性神経鞘腫であった. 一般に良性神経鞘腫からの悪性転化は極めて稀で, 本邦での報告はなく, 過去の報告では10例にすぎない. また頸部交感神経由来は西山の報告の1例のみである. 本症例は外科的切除にて腫瘍は一塊に摘出でき経過良好であったが, 術後3カ月で局所の再発を認めたため, 再発腫瘍に対して2回の外科的切除と放射線治療を行った. 放射線治療は一般に感受性は極めて低いとされているが本症例では, 再発のスピードから考えると術後照射野の再発はみられなかったことから再発予防に...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 104; no. 3; pp. 208 - 211
Main Authors 平井, 眞代, 原田, 保, 日高, 利美, 秋定, 健, 粟飯原, 輝人, 竹本, 琢司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2001
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.104.208

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Summary:51歳, 男性の右頸部交感神経原発の悪性神経鞘腫の1例を報告する. 本症例は, 病理組織学的に良性神経鞘腫から悪性転化した悪性神経鞘腫であった. 一般に良性神経鞘腫からの悪性転化は極めて稀で, 本邦での報告はなく, 過去の報告では10例にすぎない. また頸部交感神経由来は西山の報告の1例のみである. 本症例は外科的切除にて腫瘍は一塊に摘出でき経過良好であったが, 術後3カ月で局所の再発を認めたため, 再発腫瘍に対して2回の外科的切除と放射線治療を行った. 放射線治療は一般に感受性は極めて低いとされているが本症例では, 再発のスピードから考えると術後照射野の再発はみられなかったことから再発予防に効果が期待できたと考えられた. 治療開始より約11カ月で遠隔転移にて死亡したが, 極めて稀な腫瘍であるとともに治療の難しさを痛感させられた症例であった.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.104.208