喀痰排出困難による呼吸不全により,初診時に人工呼吸管理を要した筋萎縮性側索硬化症の1例

症例は70代の男性。1年間に約8kgの体重減少と,1カ月前からの痰絡みを自覚するも,自宅で自立して生活していた。来院日夕方から痰絡みが悪化して呼吸困難を生じ,当院救命救急センターへ搬送された。救急外来で気管挿管し,気管支鏡で吸痰し呼吸不全は改善した。入院翌朝に抜管したが,抜管翌日に再度呼吸不全に陥り,人工呼吸管理を行った。神経筋疾患を強く疑ったが鎮静下での診察には限界があり,喀痰排出不良にて早期抜管は困難と判断した。第7病日に気管切開を施行し,第8病日に総合診療内科へ転科となった。理学所見,電気生理学検査所見から臨床的に筋萎縮性側索硬化症と診断し,最終的に人工呼吸管理のまま転院した。本症例は,...

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Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 20; no. 6; pp. 753 - 756
Main Authors 笹尾, 健一郎, 栗原, 智宏, 関根, 和彦, 武部, 元次郎, 菅原, 洋子, 谷山, 大輔, 荒川, 千晶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床救急医学会 01.12.2017
日本臨床救急医学会
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ISSN1345-0581
2187-9001
DOI10.11240/jsem.20.753

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Summary:症例は70代の男性。1年間に約8kgの体重減少と,1カ月前からの痰絡みを自覚するも,自宅で自立して生活していた。来院日夕方から痰絡みが悪化して呼吸困難を生じ,当院救命救急センターへ搬送された。救急外来で気管挿管し,気管支鏡で吸痰し呼吸不全は改善した。入院翌朝に抜管したが,抜管翌日に再度呼吸不全に陥り,人工呼吸管理を行った。神経筋疾患を強く疑ったが鎮静下での診察には限界があり,喀痰排出不良にて早期抜管は困難と判断した。第7病日に気管切開を施行し,第8病日に総合診療内科へ転科となった。理学所見,電気生理学検査所見から臨床的に筋萎縮性側索硬化症と診断し,最終的に人工呼吸管理のまま転院した。本症例は,喀痰排出困難による呼吸不全が初発症状となり,初診時に人工呼吸管理を要した筋萎縮性側索硬化症のまれな一例である。体重減少があり,人工呼吸器からの離脱困難例では神経筋疾患も念頭に置くべきである。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.20.753