血栓吸引療法で腸管切除を回避し救命し得た急性上腸間膜動脈閉塞症の1例

急性上腸間膜動脈閉塞症(SMA閉塞症)はまれな疾患であるが,激烈な症状を呈し短時間で死亡する極めて予後不良な疾患である.その原因としては早期に本疾患を疑うことの困難さによる治療の遅れがある.今回我々は,早期に診断したSMA閉塞症に対して経カテーテル的血栓吸引療法を施行し,開腹術を行わずに治療し得た1例を経験したので報告する.症例は心房細動を有する79歳女性.激しい左側腹部痛と嘔気にて当院に救急搬送となった.発症2時間後の造影CTでSMAに血栓による閉塞を認めたが,腸管壊死には至っていないと判断した.腹部血管造影検査ではSMA末梢側から回結腸動脈に閉塞を認め,SMA閉塞症と診断した.引き続き経カ...

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Published inJOURNAL OF UOEH Vol. 38; no. 1; pp. 53 - 59
Main Authors 芳川, 一郎, 渡邊, 龍之, 久米, 惠一郎, 稲益, 良紀, 原田, 大, 浅海, 洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 産業医科大学 01.03.2016
産業医科大学
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ISSN0387-821X
2187-2864
DOI10.7888/juoeh.38.53

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Summary:急性上腸間膜動脈閉塞症(SMA閉塞症)はまれな疾患であるが,激烈な症状を呈し短時間で死亡する極めて予後不良な疾患である.その原因としては早期に本疾患を疑うことの困難さによる治療の遅れがある.今回我々は,早期に診断したSMA閉塞症に対して経カテーテル的血栓吸引療法を施行し,開腹術を行わずに治療し得た1例を経験したので報告する.症例は心房細動を有する79歳女性.激しい左側腹部痛と嘔気にて当院に救急搬送となった.発症2時間後の造影CTでSMAに血栓による閉塞を認めたが,腸管壊死には至っていないと判断した.腹部血管造影検査ではSMA末梢側から回結腸動脈に閉塞を認め,SMA閉塞症と診断した.引き続き経カテーテル的血栓吸引療法を行い,血栓の吸引除去に成功し,血流の再開通を認めた.SMA閉塞症に対して腸管切除を回避し,救命するためには早期診断が重要である.
ISSN:0387-821X
2187-2864
DOI:10.7888/juoeh.38.53